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【薬価専門部会】薬価算定で論点提示

2006年09月07日 (木)

薬価算定基準の論点が提示された薬価専門部会
薬価算定基準の論点が提示された薬価専門部会

 厚生労働省は、6日に開かれた中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)に、「薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準のあり方」に関する論点を提示した。次期薬価改定に向けて、中医協の論議が本格的にスタートしたことになる。焦点となっていた頻回改定については、「取引価格が低下しているのに、保険償還価格が据え置かれているのは好ましくない」との見方を示し、2年に1回という現行の薬価改定頻度を含め、薬価算定基準のあり方を検討していくことを提案した。また、意見陳述で業界等が主張した「新薬へのアクセス」「未妥結・仮納入」といった医薬品の取引慣行も論点に盛り込まれた形だ。論点をめぐって意見交換も行われたが、遠藤部会長はさらに議論を深めたいと提案し、了承された。

 提示された論点は次の通り。

◇薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準のあり方(論点)

 〈総論〉

 ○…現行の薬価算定ルールは、医療機関・薬局と医薬品卸企業との間の価格交渉の結果として、医療機関・薬局に薬価差が生じることを前提としている仕組みと言える。しかし、現に取引価格が下がっているにもかかわらず、保険からの償還価格が据え置かれている状態は、医療保険財政や患者負担の観点からは好ましいとは言えないことから、そのような視点に立って、現行の2年に1回という薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準のあり方について検討すべきではないか。

 ○…その上で、2年に1回という改定頻度を前提として、2年間のスパンで価格形成がなされている現状のままで、単に改定頻度を引き上げる議論をすることは現実的ではないとの指摘もあることから、新薬へのアクセスの問題、未妥結・仮納入、総価取引といった医薬品市場における取引慣行のあり方を含めた市場価格の適切な把握のための方策の問題についても、併せて、検討すべきではないか。

 〈各論〉

 [1]新薬へのアクセスの問題(いわゆる「ドラッグ・ラグ」問題)

 薬価改定の頻度の引き上げは、新薬収載時の算定比較薬の薬価を著しく低下させるだけでなく、新薬の薬価を収載直後から急速に下落させる可能性もあり、企業サイドの新薬上市意欲を著しく損ない、いわゆる「ドラッグ・ラグ」の解消に向けた取り組みの妨げとなる恐れがあるといった指摘がある。

 新薬へのアクセスの問題については、指摘されているような薬価の問題も要因の一つと言えるかもしれないが、他に治験及び承認審査の実施体制の問題なども指摘されている。また、新薬へのアクセスの向上を図る観点からも、2005年度薬価制度改革により、画期性加算、有用性加算の加算率の引き上げなどを行ったところであり、新薬の薬価算定においても、適切な対応がなされているのではないか。

 [2]未妥結・仮納入、総価取引

 仮に薬価改定の頻度を引き上げるとしても、薬価調査の信頼性を確保する観点からも、未妥結・仮納入の是正に取り組むことが前提ではないかといった指摘がある。また、同様に、銘柄ごとの市場価格を薬価に適切に反映させる観点からも、総価取引の解消が前提ではないかといった指摘がある。

 未妥結・仮納入については、バイイングパワーの強い200床以上の大規模の病院等との取引における薬価改定直後の状況について聴取したが、それ以外の中小規模の医療機関・薬局における状況についても聴取した上で、引き続き議論を進める必要があるのではないか。

 総価取引については、総価で交渉した上で総価に見合うよう個々の単価を卸の判断により設定するいわゆる単品総価契約も含まれており、その場合、ある程度競争原理に基づく単価が設定されていると考えられることから、現行の銘柄別収載を否定するほど問題があるとは言えないのではないか。

 05年度薬価制度改革の骨子において、「季節等により使用量が大きく変動する既収載医薬品についても、その価格及び数量を的確に把握できるよう、薬価調査を充実することとする」とされていることから、調査の充実などについても併せて議論する必要があるのではないか。

 [3]その他

 ▽薬価改定に伴うコスト負担▽新薬の薬価算定方式▽先発品の薬価改定方式▽後発品の使用促進――など。



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