今年もあと1カ月を残すのみとなった。例年、この時期からインフルエンザ感染流行に対する留意が必要となってくる。22日に公表された第46週(11~17日)発生状況報告では、定点(約5000)からの報告数は9309、定点当たり1.88となった。第42週からの推移を見てみると、0.73、0.87、1.04、1.06とじわじわと上がり続けている。
厚生労働省は、2024年度シーズンのインフルエンザ総合対策をホームページに掲載した。総合対策では、まず日本で流行している季節性インフルエンザのウイルス株について、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型(ビクトリア系統)だとした上で、「今年も全ての年齢でインフルエンザに注意する必要がある」と改めて国民に注意喚起した。
インフルエンザに限らず基本的な感染防止対策としては、これまでと同様、手洗いとマスク着用等の咳エチケットが有効だと説いた。
感染対策の要ともなるワクチンの予防接種に関する情報も提供している。それによると、10月現在、国内で流通しているワクチンは、皮下注不活化ワクチン(インフルエンザHAワクチン)と経鼻投与の弱毒生ワクチン(経鼻弱毒生ワクチン)の2種類で、インフルエンザHAワクチンは生後6カ月以上、経鼻弱毒生ワクチンは2歳以上19歳未満が対象と説明している。
来年3月までの今シーズンの供給予定量(9月現在)は、インフルエンザHAワクチン約2604万本(成人換算約5208万回分)、経鼻弱毒生ワクチン約130万本と、近年の平均使用量を超える供給量を見込む。同時に、ワクチンの効率的使用と安定供給のため、今後、必要量に見合う量のワクチン購入等を徹底する方針を示した。
インフルエンザ抗原検査キット(迅速タイプ)は、医療用医薬品としての供給予定量(9月上旬現在)は約5285万回分で、昨シーズン供給量約2565万回分の倍以上となっている。
さらに、抗インフルエンザウイルス薬の供給予定量(9月末日現在)は約2433万人分と、昨シーズンの約1449万人を1000万人分上回る。内訳は、タミフル(中外製薬) 約400万人分、リレンザ(グラクソ・スミスクライン)約133万人分、ラピアクタ(塩野義製薬)約23万人分、イナビル(第一三共)約999万人分、ゾフルーザ(塩野義製薬)約554万人分、オセルタミビル「サワイ」(沢井製薬)約260万人、オセルタミビル「トーワ」(東和薬品)約64万人分と公表している。
総合対策では、国民に適切な情報を提供して基本的な感染予防を徹底してもらうと共に、予防・悪化防止のワクチン、迅速診断のキット、治療薬それぞれの十分な供給量の確保に万全を期している。あとは今シーズンを小さい影響で乗り切ることを願う。