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現実味帯びる来年Dgs市場10兆円

2024年12月13日 (金)

 2024年も残すところ半月ほどとなったが、ここ数年において、その年を振り返る場合には新型コロナウイルス感染症の流行拡大と影響に関する話題が必ず伴っていた。その新型コロナウイルス感染症も、昨年5月には感染症法上の位置付けが第5類へと変わった。行動制限等は緩和され、社会経済活動や人流なども回復した。1年の振り返りに際して、真っ先にコロナ関連の話題が挙がることは相当少なくなったように思う。

 こうした中、国民の生活に欠かせない存在となったドラッグストア業界は、順調に店舗数を拡大させるなど成長を続けている。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が今年発表したドラッグストア実態調査(23年度版)でも、全国総店舗数は前年度調査よりも1000店舗近く増えて2万3000店の大台を突破し、2万3041店舗にまで到達した。

 ドラッグストアの成長要因としては、旺盛な出店のほかに、調剤分野が挙げられる。多くのドラッグストア企業で調剤売上高は堅調に推移。調剤併設の推進などにより、処方箋応需枚数は増加傾向が見られている。

 好調な調剤事業に牽引され、主なドラッグストア企業の売上高も順調に拡大しており、24年2~5月期決算では、ウエルシアホールディングス、ツルハホールディングス、マツキヨココカラ&カンパニーの3社の通期売上高が1兆円を超えた。

 一方、全国総売上高(推定値)に関して、同実態調査の結果では9兆2022億円となり、ついに9兆円台に突入した。前年度からの伸び率は5.6%増となり、再び高い伸び率を示した。

 カテゴリー別でも、104.0%~107.7%の幅で全般的に増加しており、JACDSは「円安や国際情勢の緊張による輸入材の大幅な値上げに対応するための商品の値上げが売上増につながっていると思われる」と分析している。

 23年度実態調査で総売上高が9兆円超えとなったことで、JACDSとドラッグストア業界が長く目標としてきた「2025年10兆円産業化」の実現は現実味を帯びている。さらに、新たに掲げている「ドラッグストアの健康生活拠点(健活ステーション)化」への取り組みにより、30年におけるドラッグストア業界の推計総売上高は約13兆円に達するとの予測も立てられている。

 年が明ければ10兆円産業化とした25年がいよいよ幕を開ける。その先の30年も見据えている。コロナ禍における取り組みなどで、地域からの信頼を得て期待される業態となったドラッグストアではあるが、地域を支えるドラッグストアであり続けるため、一層の機能強化や業態進化に取り組む姿勢を打ち出している。ドラッグストア業界に対しては、来年以降もさらに注目が集まることになるだろう。



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