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薬剤師業務変える薬機法大改正

2025年01月17日 (金)

 施行後5年をメドとする次期医薬品医療機器等法改正に向け、厚生労働省は制度見直しが必要な項目について具体的な方策を示した取りまとめを公表した。内容は、▽医薬品等の品質確保・安全対策の強化▽ドラッグラグ・ロス解消に向けた創薬環境・規制環境の整備▽薬局機能・薬剤師業務のあり方見直しや医薬品の適正使用の推進――など多岐にわたる。中でも、薬局・薬剤師関係の制度見直しについては大改正と言える内容ではないか。OTC医薬品の販売で規制緩和に走らず、薬剤師・登録販売者の関与と責任を明確にした。

 前回の2019年改正は、薬局が調剤のみならずOTC医薬品を含む全ての医薬品を安定的に提供する施設であること、薬剤師が医薬品の適正使用に必要な情報提供と薬学的知見に基づく指導を行う場所であることが規定され、調剤時に限らず必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行わなければならないとする服薬フォローアップを義務づけた。

 これらは薬局・薬剤師のあるべき姿を薬機法で明文化したという意味では重要な改正ではあったが、薬局・医薬品販売業の業務を大きく変えるものではなかった。

 今回の改正案ではOTC医薬品の販売制度に切り込んだ。注目すべきは、若年者を中心にかぜ薬など一般用医薬品の乱用が拡大するオーバードーズ問題への対応だ。乱用の恐れのある医薬品の多量・頻回購入を防止するため、若年者に対しては対面・オンラインでの販売を義務づけ、専門家が販売可否を判断できるようテキストでのやりとりとなるインターネットでの販売は不可とした。

 他の薬局等での購入の状況、必要な場合の氏名・年齢、多量購入の場合の購入理由等必要な事項を確認させ、情報提供を行わせることなどを義務づけた。万引きを防止するための顧客の手の届かない場所への商品陳列に関しては義務化を見送ったが、販売・情報提供を行う場所に継続的に専門家を配置することを求める。

 乱用の恐れのある医薬品の販売方法の厳格化は、OTC医薬品の多量・頻回購入を防止するための規制強化に映るかもしれないが、薬剤師や登録販売者の専門家にOTC医薬品の販売に適切に関与してもらう趣旨である。

 実際、OTC医薬品を配置していない薬局やOTC医薬品を配置していても販売時に専門家の関与が希薄なドラッグストアが問題視された。薬局が調剤のみならずOTC医薬品を含む全ての医薬品を安定的に提供する施設であるならば、OTC医薬品を責任持って販売するのは当然だ。法改正が実現された際には医薬品販売業としての責任をしっかり果たしてほしい。

 医療用から一般用に転用するスイッチOTC化も今後進む。薬機法改正を機に薬局・薬剤師がOTC医薬品と向き合う流れを作り出したい。



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