中谷財団は8日、財団創立40周年を記念して創設した学術賞「神戸賞」の第2回受賞者を発表した。大賞は菅裕明氏(東京大学大学院理学系研究科教授)が受賞したほか、Young Investigator(Y.I.)賞は3人に贈られる。
神戸賞は、今後わが国がリードしていく分野として注目されている「BME(Bio Medical Engineering)」分野―生命科学と理工学の融合境界領域」で、イノベーションをもたらす優れた独創的な研究実績を上げた研究者や、そのユニークな研究で将来性が嘱望される若手研究者に光を当てる新たな学術賞。
大賞には、「特殊ペプチド創薬の開拓とイノベーション」に取り組んだ菅氏が受賞した。菅氏は、非天然型のアミノ酸が連なる特殊なペプチドを、細胞抽出液で合成できる「人工酵素フレキシザイム」、「遺伝暗号リプログラミング技術」を開発し、さらにペプチド薬剤候補を高効率で探索できる「RaPIDシステム」を開発したことが評価された。賞金5000万円、副賞としてトロフィーが贈られる。
Y.I.賞には次の3氏が選ばれ、それぞれ賞金500万円、副賞として研究助成金4000万円(5年間)、トロフィーが贈られる。
▽谷内江望(The University of British Columbia,Biomedical Engneerig, Professor/Director of Research、大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点特任教授、東京大学先端科学技術センター客員教授):DNAイベントレコーディング技術の開発
▽村川泰裕(京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点教授、理化学研究所生命医科科学研究センターチームディレクター):ヒト疾患の分子機序を明らかにするためのエンハンサーマップの高精細構築と独自技術開発
▽神谷真子(東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所教授):生命科学を切り拓く革新的バイオイメージングプローブの開発
なお、授賞式は5月25日、神戸市の神戸ポートピアで行われる。