|
クラボウは、11月から顕微鏡による動物などの生体組織の画像観察に必要な薄切片を自動的に作製する「組織切片自動作製装置AS‐200」を新発売する。同装置は、東芝機械から技術ライセンスを受け、従来、専門的技術者の手作業に頼っていた切片作製作業を完全に自動化し、作業時間の短縮・作製作業による身体的負担の軽減など実験の大幅な効率化を可能にした。
今回の東芝機械との提携は、クラボウの目指す「サンプル作りから画像振り込みまで」のシステム構築構想と、東芝機械の「製品の本格販売を通じた自社保有技術の活用」の考え方が合致したもので、今年2月に技術ライセンス契約を締結した。
東芝機械は、東京大学と神奈川科学技術アカデミーと共同で、生体組織を連続的に薄く切断する(薄切)技術の研究及び薄切装置の開発を進めてきた。同契約により東芝機械が保有する特許の実施権と開発ノウハウをクラボウに提供し、クラボウは同基本技術とノウハウをベースに組織切片自動作製装置の開発に成功した。
組織切片自動作製装置は、パラフィンブロックから薄切、貼付・伸展・乾燥までを自動化するもので、主な特徴は次の通り。
[1]1μm単位で任意の厚みの切片作製が可能[2]1ブロックから最大200枚のスライドガラスへの切片の貼付、あるいは最大20ブロック(オプション:100ブロック)から任意枚数のスライドガラスへの貼付が可能[3]1枚のスライドガラスに複数枚の切片の貼り付けが可能[4]手作業と比較して処理時間を大幅に削減(薄切からスライドガラス200枚に貼付する時間は手作業が608時間、同装置約2時間)[5]均質な切片作製が可能――など。
標準価格は1台1680万円。当面、国内の基礎研究分野での実顔作りを行うと共に、将来的には海外販売及び臨床病理分野も視野に入れた販売を推進する。5年間の販売目標は100台(約16億円)