島津製作所は25日、同社グループ会社として、研究・教育設備、理化学機器などの製造・販売を行う島津理化が、創業期の象徴的な製品「ウイムズハースト式感応起電機」をGakkenの「大人の科学マガジン」とのコラボレーション企画として復刻生産し、島津製作所創業者の初代島津源蔵の生誕日である25日から、創業150周年にちなんで限定150台を発売すると発表した。
英国の発明家ジェームズ・ウイムズハーストが1883年に発表した感応起電機は、金属箔が貼られた2枚ののガラス円盤を近距離で逆方向に回転させることで静電気を発生させる手動の発電機。その1年後に島津初代源蔵の息子である当時15歳だった島津梅治郎(後の二代源蔵)が日本で初めて製作した。
初代源蔵は、自ら編纂した月刊誌『理化学的工芸雑誌』(86年創刊)の最初の製品広告にウイムズハースト式感応起電機を掲載している。この感応起電機は「島津の電気」と呼ばれて、教育や研究の現場で活躍しただけでなく、第三高等学校(現京都大学)の村岡範為馳(はんいち)教授がレントゲン博士によるX線発見を受けた追実験において、電源として採用された。
追実験では二代源蔵と弟の源吉が村岡教授の助手を務めて、レントゲン博士の発見から11カ月後の96年10月10日にX線写真撮影の成功に協力している。ウイムズハースト式感応起電機は、創業期の島津製作所にとって成長の礎となった象徴的な製品だった。
今回、限定発売される「ウイムズハースト式感応起電機」は、購入者自身が組み立て、手動で電気を起こして放電を観察できる実験キット。同製品は、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピングおよび島津理化の販売代理店を通じて販売する。
島津は今年3月、創業150周年を迎えて、様々な記念事業を進めている。島津理化による同製品の限定発売もその一環となる。同社は創業時の理化学器械事業を継承し、教育の場を創造するためのコンサルティング事業などに取り組んでいる。