キヤノンと京都文化協会は25日、「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第17期作品として制作した、米国のクリーブランド美術館蔵「桐竹鳳凰孔雀図屏風」(伝土佐光吉筆)の高精細複製品を、大阪府和泉市へ寄贈したと発表した。
桐竹鳳凰孔雀図屏風」は、桃山時代(16世紀)に描かれたもので、桐と竹を背景に、鳳凰と孔雀の雄雌が並び、その細緻に彩色された美しい羽が金地の空間によく映えた絢爛豪華な風格を放つ作品。作者には、大和絵土佐派の絵師・土佐光吉の名が挙げられている。
狩野派の要素があり大和絵と唐絵の融合が見られる同作品は、日本美術史を語る上で価値あるもので、原本はクリーブランド美術館にて所蔵されている。光吉は、当時の宮廷に仕える絵師を統括する絵所預(えどころあずかり)の所領があった和泉国(現在の大阪府南西部)に拠点を構え、商人や文化人などの町衆とのつながりがあったとされ、今回、高精細複製品を制作することで、絵師ゆかりの地・和泉市への里帰りが実現した。
制作に当たっては、同社のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」でオリジナルの文化財を撮影し、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理を行った上で、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力している。さらに、京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。
寄贈作品は、今月26日から来年3月22日まで、多くの東洋古美術の名品や国宝、重要文化財を所蔵し、地域の文化発信拠点として親しまれる和泉市久保惣(くぼそう)記念美術館の本館ラウンジで公開される。
この展示では、写真撮影が可能であるほか、鳳凰・孔雀の羽に見られる金など、作品の細部に至る色調や装飾までを忠実に再現した実物大ならではの迫力や美しさを、ガラスケースなしで間近で鑑賞できる。
また、この作品は、その後も同館内で常設展示されると共に、地域縁の絵師の作品として、和泉市主催の文化行事や地域連携によるイベントでの活用などが予定されている。
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