大正製薬は、長年取り組んできたミトコンドリア、老化細胞、肌老化に関する研究において、ミトコンドリアに存在する酵素「Mitochondria Ubiquitin Ligase(マイトリガーゼ)」の減少が、肌細胞のダメージ修復に重要な役割を持つミトコンドリアネットワークの形成を妨げることを発見した。このことから、若返りの鍵「マイトリガーゼ」を活性化することができれば、ミトコンドリアネットワークが正常に形成され、肌老化に抵抗できることが期待される。
ミトコンドリアは生命の機能や生存において非常に重要な細胞小器官。細胞内でエネルギーを生産し、網状のネットワーク構造を形成することで細胞全体にそのエネルギーを巡らせて細胞の機能を維持している。しかしながら、紫外線や酸化ストレスなど、様々な要因でミトコンドリアのネットワークは崩壊してしまうという。細胞の機能を維持するためには、ミトコンドリアがネットワークを再形成することが重要となっている。
今回の研究では、細胞のダメージ修復におけるミトコンドリアのネットワークの重要性に着目。マイトリガーゼとミトコンドリアネットワーク形成の関連性について調べた。
主な研究成果によると、細胞がダメージを受けた後、正常な肌の細胞ではミトコンドリアのネットワークがどのように変化するかを調べたところ、正常な細胞(コントロール細胞)では、細胞がダメージを受けた直後はミトコンドリアが分裂し、一時的にミトコンドリアネットワークの形成が阻害されるものの、数時間後にはミトコンドリアネットワークが再形成されることが確認された。
次に、マイトリガーゼを減少させた肌の細胞を用いて、細胞がダメージを受けた後のミトコンドリアネットワークの変化を調査。マイトリガーゼが減少した細胞では、細胞がダメージを受けた直後だけでなく、その後もミトコンドリアネットワークが形成されないことが明らかになった。
細胞がダメージを受けた後の修復にミトコンドリアネットワーク再形成が必要だが、今回の研究で、マイトリガーゼが減少していると、細胞がダメージを受けた後にミトコンドリアがネットワークを再形成できないことがわかった。これまでの研究で、加齢によって肌のマイトリガーゼが減少することを確認しており、また、マイトリガーゼが減少した肌細胞では、酸化ストレスによるDNAダメージの修復力が低下することも確認している。さらに今回の研究では、マイトリガーゼが減少した肌細胞が酸化ストレスを受けた後に、ミトコンドリアネットワークを形成できないことも確認した。
細胞にダメージが蓄積すると肌老化が進行してしまう。今回の研究から、マイトリガーゼが肌老化に重要な役割果たしている可能性がより明確になった。このことから、若返りの鍵「マイトリガーゼ」を活性化できれば、ミトコンドリアネットワークが正常に形成され、肌老化に抵抗できることが期待される。
大正製薬では、健康で美しくあり続けたいと願う生活者に向けて、これからも美しい肌に繋がる先端の美容研究を進め、その研究成果を発表していく考えだ。
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