シスメックスは26日、新潟市で21~23日II開かれた第44回日本認知症学会学術集会で、同社中央研究所の村上駿氏らが演題「全自動免疫測定装置を用いた血漿p-tau205試薬の開発」とし、アルツハイマー病(AD)診断に関する最新データを発表したと紹介した。演題の概要は次の通り。
〈背景〉
アルツハイマー病(AD)に対する疾患修飾薬の登場に伴い、脳脊髄液(CSF)や血液バイオマーカーによる検査が注目されている。中でもリン酸化タウの一種であるp-tau205は、脳内タウ蓄積を反映するバイオマーカー候補として報告されている。われわれはこれまでCSF中のp-tau205を対象とした測定技術の開発に取り組み、免疫沈降-質量分析法と高い相関を有する試薬を構築したことを報告している。
本発表では、より簡便な検査実現を目指した血漿中p-tau205を標的とした測定試薬に
ついて、その分析性能および病態との関連性を報告する。
〈方法〉
血漿p-tau205測定試薬は、全自動免疫測定装置HISCLTM-5000を用いて開発した。分析性能として感度、希釈直線性、同時再現性等を評価した後、市販血漿検体(AD=10、認知機能正常者=9)を測定し、病態との関連性を評価した。
〈結果〉
測定範囲は0.5~55pg/mL、同範囲内の希釈直線性は理論値の99~110%であり、同時再現性は変動係数3.8%以下であった。血漿中のp-tau205濃度はAD群で有意に高値(p<0.01)であった。
〈結論〉
開発したp-tau205測定試薬は良好な分析性能を有しており、血漿マトリクスの影響を受けずにp-tau205を測定できる可能性が示唆された。また本試薬で測定されたp-tau205値はAD群において有意に高く、ADの病態進行状態を反映している可能性がある。
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