日本製薬工業協会会長 宮柱明日香
2026年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、医薬品を取り巻く環境は大きく変化しました。海外では、米国の関税措置や、米国医薬品価格を海外での最低薬価まで引き下げる最恵国待遇への対応、地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンの緊張など、グローバルに展開する製薬産業を取り巻く環境は、これまで以上に不透明さが高まっています。国内においては、研究開発力の低下、ドラッグラグ・ロスの拡大、供給不安、そして物価上昇基調の中で9年連続の薬価の引き下げなど、解決すべき課題は山積しています。
私たち医薬品業界は、国民の健康と経済安全保障を支える基幹産業・成長産業として、これまで以上に責任ある対応が求められる重要な局面にあります。日本がこれからも新薬を創出し続けるためには、既存の枠組みを見直し、新しい発想を受け入れ、果敢にイノベーションを起こしていくことが不可欠です。
とりわけ薬価制度に関しては、中間年改定の廃止に加え、海外からも魅力ある市場と評価されるよう、予見性と透明性の高い制度の構築が必要です。本年設置される社会保障制度における給付と負担のあり方について国民的議論を行う「国民会議」においても、社会保障財政の持続性に加えて、イノベーションへのアクセスを確保する視点が重要であり、業界としても建設的な提言を行っていきます。
また、昨年11月に政府に設置された日本成長戦略本部においては、リスクや社会課題に対して先手を打つ「官民連携の戦略的投資」の推進、「世界共通の課題解決に資する製品やサービスを通じた日本経済の成長の実現」を明確に打ち出しています。
重点投資対象17分野には「創薬・先端医療」「合成生物学・バイオ」も戦略分野として位置づけられました。今後、製薬協は、日本の創薬の国際競争力の強化と国民安全保障の観点に立って、積極的に議論に参画していきます。
製薬協会長として迎える初めての新年です。昨年は、多くのステークホルダーの皆さんと真剣な議論と率直な対話を重ねる中で、業界への期待と温かい応援に触れ、大きな励ましをいただいた1年でした。今年も、駿馬の群れが大地を駆けるように、スピードと力強さを大切にしながら、多くの皆様と「Co-creation(共創)」の考えのもと、価値を共に創り上げる1年にしていきます。



















