薬事食品衛生審議会・薬事分科会は19日、前立腺肥大症治療薬「アボルブカプセル」、降圧剤「ラジレス」の2品目を審議したほか、9品目の報告を受け、承認を了承した。報告品目の中には、配合の意義などが指摘され、医薬品第一部会で2度にわたって審議された降圧剤「カデュエット」などが含まれている。7月中にも正式承認される見通し。
「アボルブカプセル0・5mg」(グラクソ・スミスクラインが製造販売)は、他に類薬がないため、改めて審議された。有効成分はデュタステリド。5α還元酵素阻害作用を有する前立腺肥大症治療薬。厚生労働省は、類似薬である万有製薬の男性型脱毛症用薬プロペシア(フィナステリド)と併用した場合でも、薬剤の安全域が広いため、重篤な副作用は少ないとしているが、念のため市販後調査を行うよう企業に指示している。
「ラジレス錠150mg」(ノバルティスファーマが製造販売)は、アリスキレンフマル酸塩が有効成分。レニン・アンジオテンシン系の上流の、レニンに直接作用し、血圧を下げるという新たな作用機序を持つ。食事の影響を受けやすいため、患者ごとに空腹時または食後のいずれかに規定し、可能な限り同じ条件で服用するなどの使用上の注意が記載された。
報告品目は次の通り。
▽エンブレル皮下注用25mg(ワイスが製造販売):有効成分は、エタネルセプト(遺伝子組み換え)。効能・効果は、既存治療で効果不十分な関節リウマチで、多関節に活動性を有する若年性突発性関節炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)の効能を追加した。
▽アズマネックスツイストヘラー100μg60吸入、同200μg60吸入(シェリング・プラウが製造販売):有効成分はモメタゾンフランカルボン酸エステル。気管支喘息を効能・効果とする定量式吸入用散剤。
▽グロウジェクト注射用1・33mg、同注射用8mg、同BC注射用8mg(日本ケミカルリサーチが製造販売):有効成分は、ソマトロピン(遺伝子組み換え)。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の効能・効果を追加した。
▽カデュエット配合錠1~4番(ファイザーが製造販売):有効成分は、アムロジピンベシル酸塩/アトルバスタチンカルシウム水和物。効能・効果は、高血圧症または狭心症と、高コレステロール血症または家族性高コレステロール血症の併発。降圧薬と高脂血症治療薬という、異なる作用機序の成分を配合した初の医薬品。
▽プログラフカプセル0・5mg、同1mg、同5mg(アステラス製薬が製造販売):有効成分は、タクロリムス水和物。難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(重症度は中等症~重症に限る)の効能・効果を追加した。
▽ルミガン点眼液0・03%(千寿製薬が製造販売):有効成分はビマトプロスト。効能・効果は緑内障、高眼圧症。
▽レメロン錠15mg(シェリングプラウが製造販売)、リフレックス錠15mg(明治製菓が製造販売):有効成分はミルタザピン。効能・効果はうつ病、うつ状態。
▽レミケード点滴静注用100(田辺三菱製薬が製造販売):有効成分はインフリキシマブ(遺伝子組み換え)。既存治療で効果不十分な関節リウマチ、関節の構造的損傷の防止の効能を追加した。
▽ゴナールエフ皮下注用75、ゴナールエフ皮下注ペン300、同450、同900(メルクセローノが製造販売):有効成分はホリトロピンアルファ(遺伝子組み換え)。「視床下部―下垂体機能障害または多嚢胞性卵巣症候群に伴う無排卵および希発排卵における排卵誘発」の効能を追加した。