【薬学生キャリア相談Q&A】学生時代に身に付けるべき力とは? キャリア・ポジション代表取締役 西鶴智香

2026年06月20日 (土)
西鶴智香氏

Q

 薬学部4年生です。先輩の話を聞くと、5年生になってすぐに就職活動が始まるそうですが、今のうちにやっておくことはありますか?また、社会に出るにあたって取得しておいたほうがよい資格はありますか?

A

 4年生になると、だんだんと就活が近づいてくる感じがして、浮き足立つ学生は多いのですが、まだまだ時間はありますので、そう焦ることはありません。

 社会に出て必要とされる力について、皆さんは大学のキャリアガイダンスで「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがあると思います。社会人基礎力とは、経済産業省が2006年に「社会に出て活躍するために身に付けたい力」として提唱した概念です。皆さんが学んでいる薬学の知識と違って、社会人基礎力の12項目のスキルは「主体性」「働きかけ力」など抽象的な表現が多く、その力があるといえるにはどの程度のことを指すのか、分かりにくいと感じる人もいるでしょう。

 では、この概念が作られた背景を考えてみましょう。これから皆さんが、とどまることなく変化する今の社会において、自立的に自分の未来を切り拓いて生きていくためには、変化を恐れず、変化に対応する力と態度を身に付けることが不可欠です。大学では、日々薬剤師になるための専門教育が行われていますが、社会人基礎力は、仕事に就いて働く土台となる力です。これからの自分のキャリアを考える際には、まずこの土台を固め、その上に専門力を積み重ねていくのだと理解すればよいのです。

 実は、経済産業省は採用側と学生側に、社会人基礎力の12項目のスキルのうち、どの力が不足していると認識しているかを調査しました。結果は、双方とも、コミュニケーション力を不足する力の最上位に挙げた点では一致していました。一方で、採用側は「主体性」「粘り強さ」が学生に不足していると認識し、学生側は「語学力」「専門知識」が足りないと考えており、ギャップがありました。

 この調査結果を薬学生に当てはめてみましょう。採用側は薬学生に薬剤師資格以外の資格取得を強く求めているわけではありません。それよりも、講義や学外活動で自ら主体的に動く機会を増やすことや、研究室や部活動で先生や先輩方と協働して多くの経験を積み、多角的視点を持つこと、挑戦を続けて完遂を目指すことなど、「主体性」や「粘り強さ」に関する力を求めているのです。

 薬剤師として働く際には、チーム医療の一員として活動しますので、自分と異なる視点を受け入れられる「多様性理解」や「協働力」も強く求められる力です。就職先を決める前に、働くための土台となる力を磨くことが最優先です。頑張ってみてね。



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