久光製薬は27日、2010年2月期から14年2月期までの5ヵ年中期経営計画を発表した。新中計では、「商品・営業の差別化強化」「国際競争力の獲得」「TDDS研究開発の強化」を基本方針に掲げ、最終年度の14年度には売上高1900億円、営業利益435億円の達成を目指す。都内で開いた中計説明会で中冨博隆社長は、特に海外競争力を重視する考えを強調。ノーベンの買収で基盤を確保した米国展開に加え、アジア展開を強化し、海外売上高比率15%以上を目指す方針を示した。
同社は、前中計を米国市場への本格展開の準備期間を位置づけてきたが、新中計では国際競争力の獲得を明確に掲げ、海外市場でのプレゼンス向上を打ち出した。特に米国展開、アジア展開で海外事業の基盤を整備し、14年度には米国売上高240億円以上、アジア売上高65億円以上、海外売上高比率15%以上を目指す。
米国では、FDAに申請中の「HFG‐512」(フェンタニル貼付剤)、第III相試験中の「HKT‐500」(ケトプロフェン製剤)の承認を取得し、販売を開始する計画。一方、アジアでは、既に進出しているベトナム、インドネシアなどで新製品を投入すると共に、中国、タイへの新規参入を果たす。中冨氏は「今後も戦略的な投資を行うことも視野にある」と述べ、さらに積極的な海外展開を進めていく方針を強調した。
国内営業の差別化では、MRを450人体制から650体制に増員し、主力製品の「モーラス」「モーラステープ」で第二世代外用鎮痛消炎剤の市場シェア54%以上、売上高970億円を目指す。また、国内申請中の「HFT‐290」(フェンタニルテープ剤)、「BTDS」(プブレノフィン貼付剤)を売上合計200億円以上の製品に育成し、中計最終の14年度には売上高1275億円の達成を掲げた。
TDDS研究開発の強化では、日本、米国で久光とノーベンが持つ臨床開発ノウハウを融合し、スピードアップを図ると共に、14年度までに開発パイプライン6テーマの承認・上市、3テーマの第III相試験終了を実現。さらにTDDS製剤の技術融合によって、新規製剤の創出を目指す方針を示した。