毎日、実に様々な記念日がある。日本においては、七夕など伝統的行事として長年定着しているものをはじめ、「△△の日」というように、業界や企業がPR効果を狙って設定したものまで、その数は1200種類以上ともされており、年々その数は増える傾向にあるという。
従来からある記念日に加えて、新たに誕生した記念日について登録制度を実施している組織に、日本記念日協会(加藤清志代表)がある。日付や由来などを審査し、登録認定の合否を決定する仕組みだ。登録料を払えば何でもOKというわけでなく、記念日文化の発展を損なう恐れがあると判断したものは、登録できない。このほど同協会は、奥歯ケアの大切さについての意識向上を図る日として、「奥歯の日」(10月8日)を認定した。
デンタルケア用品の専門ブランド「リーチ」を展開するジョンソン・エンド・ジョンソンが申請したもので、「奥(おく)」と「10月のオクトーバー」、「歯(は)」と「8日」の語呂をかけて、10月8日に制定した。
上下の奥歯は歯ブラシが届きにくく、歯垢がたまりやすい。最も磨きにくい場所だけに、歯周病予防のケアが重要といえる。同社では今後、「奥歯の日」を含めて、奥歯ケアの重要性と意識向上などの啓発活動を、一層強化していく考えだ。
記念日協会に登録されている日を見てみると、例えば歯に関連したものでは、6月4日の「虫歯予防デー」は知られているが、酸蝕歯の日(3月4日)、歯列矯正の日(4月2日)、歯並びの日(8月8日)、歯ぐきの日(11月8・9日)、いい歯ならびの日(11月8日)などがある。化粧品でも「コラーゲンの日」(1月26日)、美白デー(3月14日)、無添加の日(6月10日)など数多い。
薬に関連したものでは、森下仁丹による「仁丹の日」(2月11日)、ユースキン製薬による「ハンドクリームの日」(11月10日)などのほか、寒さが増して膝が痛み出す時期に、膝関節痛の治療や予防を広く呼びかけるため、ゼリア新薬が制定した「いいひざの日」(11月13日)、滋養強壮薬の長城清心丸(中国名・牛黄清心丸)を、より多くの人に知ってもらおうと、輸入元のアスゲン製薬が制定した「長城清心丸の日」(毎月5日)などが見られる。
こうした記念日は、団体や企業などが実践的なPR活動に役立てるために登録したものが多いが、取り扱いアイテムの多いドラッグストアにとっては、関連する記念日が結構ある。
逆に登録した側も、それほど外部に訴求していないケースもなくはない。その一つに、日本OTC医薬品協会が制定した「胃腸の日」(12月11日)がある。“胃にいい日”と読む語呂合わせから、胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどを訴えることを目的とするが、一般の人たちや、メディアへの目立ったアプローチが少ないこともあって、知らない記者も結構いる。
これらの記念日には、対象とする製品や素材について、さらなる認識を持ってもらいたいとの願いが込められている。展開次第では、小売店頭での売り場提案の充実にもつながり、また生活者にもメリットがある。
セルフメディケーション推進の観点からも、記念日登録者側は小売サイドと連携して、積極的な活用を進めてはどうか。