日本薬剤師会は、新販売制度に対する薬局の取り組みについての、サポート薬局の調査結果(速報値)を公表した。消費者への説明・情報提供を重視した取り組みをはじめ、第1類薬への関心が高まり、品揃えや販売高にもその成果が表れていることや、過去1年、購入目的の来局者への受診勧告が、9割近くで行われていたことも明らかなった。大津市で開かれた日本薬剤師会学術大会で示された。
日薬は今年度からサポート薬局制度を導入、日薬の抱える課題に関して、必要な情報の収集・調査を、いつでもできる体制を構築した。今回、6月の改正薬事法施行前後で、薬局での一般薬販売にどのような変化があったかを明らかにする目的で、8月にセルフメディケーション・サポート薬局を対象に、「一般用医薬品販売等に関する実態調査」を実施した。
調査では、サポート薬局953薬局を対象に、775薬局(回収率81%)から回答を得た。調査項目のうち公表されたのは、▽取り扱い品目数の増減▽販売高の増減▽情報提供書面の取り扱い▽受診勧告▽販売者責任を明らかにする取り組み--など。
このうち、第1類薬の取り扱い品目数を「増やした」は32%、「変化させていない」62%、第2類・3類薬については、いずれも「変化させていない」が9割りに達し、「増やした」は2%程度だった。
また、第1類薬を増やした主な理由としては、▽薬剤師として責任を果たすため▽新製品が増えた▽成長領域と判断▽他店との差別化▽薬局としての機能をアピール--などが挙げられた。一方、減らした理由は、取り扱いが面倒、あまり売れないから、陳列スペースが取れないなどが主なものだった。
販売高については、第1類薬が「伸びた」は24%、「減った」11%で、「変化なし」が過半数を超える62%を占めた。第2類・第3類薬については、「変化なし」が共に83%、「販売高が減った」が11%前後あった。
第1類薬売上増の主な理由は、▽大型ドラッグストアで扱いがない▽他店で扱わなくなった▽新製品が増えた▽意識して薦めている▽説明を受けて購入したい消費者が増えた--など。一方、売上減は、陳列の関係で買いづらくなった、リスクが高いという意識が消費者に芽生えた、購入に手間がかかることを消費者が敬遠などが理由となっている。
情報提供は「文書を渡している」が25%、「文書を見せている」39%、「両方実施している」30%と、大半の薬局は書面で説明を行っていた。
一般薬に関する説明や助言を行う頻度は、半数が法施行前に比べ「増えた」と回答。重大な副作用に関する説明を行う頻度が「増えた」も27%あった。