厚生労働省の先進医療専門家会議は、[1]パクリタキセル・カルボプラチン・ベバシズマブ併用療法とベバシズマブ維持療法[2]パクリタキセル静脈内投与・カルボプラチン腹腔内投与併用療法--の2件について、保険診療との併用を認めることを決めた。いずれも適応外の抗癌剤を用いる技術で、既に高度医療に承認されている。
[1]の適応症は再発卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌で、埼玉医科大学国際医療センターが申請していた。パクリタキセル+カルボプラチンの標準化学療法に、血管内皮細胞増殖因子の動きを阻害するベバシズマブを加えた3剤を、21日ごとに経静脈投与。これを6サイクル行った後、維持療法としてベバシズマブを21日ごとに単剤投与する。無増悪生存期間の延長と、QOLの改善が期待できる。
典型的な症例で、ベバシズマブの薬剤費は約909万円かかるが、米国国立癌研究所の無償提供により、1症例当たりの保険外費用は13・9万円程度となる見込み。保険給付部分は約110・2万円。
[2]の適応症は上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌で、同じく埼玉医科大学国際医療センターが申請した。小開腹で留置した腹腔ポートから、カルボプラチンを21日ごとに直接投与すると共に、全身化学療法としてパクリタキセルを1週間ごとに経静脈投与する併用療法。米国で、シスプラチン腹腔内投与の大規模比較試験が行われてきたが、毒性の問題などから、標準治療として広がっていないことを踏まえ、より毒性の低いカルボプラチン腹腔内投与の有用性を検証する。
試験薬剤が無償提供されるため、保険外費用は12・9万円にとどまる。保険給付部分は71・1万円。