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医薬関係者は“プロ魂”が大切

2010年4月30日 (金)

 奇しくも27日は、市民感覚が国家を動かす大きな出来事が三つあった。一つは、長年の懸案だった殺人犯罪に対する時効を撤廃する法案が成立し、即日施行されたこと。

 そもそも、最愛の家族を奪われた被害者遺族に時効など存在するはずもなく、とかく加害者に有利と見られていた刑事訴訟法等が、被害者に向いて改正されたことは、国民感情に法整備がやっと追いついたといえる。もちろん、時効制度の意義も含め、犯人を追い続けるための諸課題も多く、今後の関係者による取り組みが注目される。

 二つ目は、政界を揺るがした検察審査会11人全員一致による民主党小沢幹事長「起訴相当」の議決である。これについては、賛否いろいろな意見が出されているが、市民目線・感覚からの一つの結論だと受け止めていいだろう。

 問題は、審査したのはあくまでも一般市民であり、誤解を恐れずにいえば、一般市民はいわば素人だ。その道には、必ずプロがいる。プロである検察が捜査し、公判を維持して有罪にできる確たる証拠が得られなかったと判断した結果、不起訴処分となった。それを素人の11人が感情的に起訴しろといっても、物事はそう簡単には運ばないものだ。

 そして三つ目は、未承認薬・適応外薬の開発要請の第一弾109品目が決定したことである。厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外使用薬検討会議」が、候補374件から絞り込んだ未承認薬50件、適応外使用薬59件についてメーカーへ薬事承認取得を促した。患者(=市民)と医師らが待ち望んでいた方向へ、一歩踏み出したことの意義は大きい。

 薬価制度改革における新薬創出・適応外薬解消等促進加算の要件が具体的に
動き出したことで、業界全体による流通改善を含む制度定着への動きが活発化することが期待される。

 確かに、市民感情は大事なことだが、そればかりを優先することには危険が伴うことも事実である。例示として適切かどうかは別として、行政刷新会議の事業仕分けも同様だ。

 血税である国家財政支出の無駄を排除しようという姿勢は評価できるし、過度な優遇による天下りを止めることも、国民感情からは正しい。だが、仕分け人が「おかしい」と指摘する内容の中には、特に科学技術系で、「それこそおかしい」と首を捻らざるを得ない場面もある。日本は科学技術立国であることを忘れてはならないし、素人考えだけで強制するのも理にかなっていない。

 医薬品関連の法人についても仕分けが進められている。医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対しては、事業を否定することなく、逆に事業を拡充する方向に結論づけられたようだ。医薬品産業には、開発から臨床試験を経て申請・承認され、製造、流通、処方、調剤、そして適切な情報提供と、それぞれのステージでプロが活躍しており、このいずれにも一般市民が口を挟むことは難しい。

 国民の生命と健康への貢献を大儀として医薬品産業は成り立っており、国民から信頼もされている。であるならば、“プロフェッショナル魂”を常に持ち続ける必要がある。製造上の不手際やデータ改ざんなどはもってのほかであり、法規等の遵守は当然、他の産業よりも高い倫理観が求められていることを肝に銘じるべきだ。

 市民感覚とプロの自覚・誇りの融合こそが、日本を正しい道に導くのではないだろうか。




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