
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は27日、未承認薬50件、適応外使用薬59件について、適応疾病の重篤性、医療上の有用性の観点から開発が必要と判断し、製薬企業に薬事承認の取得を促すことを決めた。このうち、抗癌剤は未承認、適応外それぞれ10件で、小児用製剤は未承認11件、適応外9件だった。5月中~下旬に開発権を持つ企業へ開発を要請し、国内に該当企業がない品目については開発企業を公募する。
会議では、学会や患者団体などから国内導入の開発希望のあった374件のうち、米英独仏の4カ国で承認や公的保険適用のない103件と、既に国内承認済みの3件を除いた品目を対象に、ワーキンググループ(WG)で医療上の必要性に関する評価を実施。4月までに199件について作業を完了し、開発要請品目を109件に絞り込んだ。
分野別の内訳は、▽代謝・その他10件▽循環器28件▽精神・神経15件▽抗菌・抗炎症12件▽抗癌20件▽生物4件▽小児20件(成人と共通するものは各疾患に計上)―となっている。
なお、2型糖尿病合併慢性腎臓病患者に対するピオグリタゾン、急性期脳出血患者に対するニカルジピンの使用については、適応拡大の対象からは外れたが、WGは添付文書の禁忌項目を削除することで解禁できる可能性を示唆。これを受けて厚労省は、添付文書上の対応を検討する。
今後、厚労省の要請を受けた企業は、1カ月後には開発工程表や公知申請の該当性レポートを提出し、会議の評価結果がまとまった上で、公知申請や追加試験へと進む。公知申請については、会議による申請内容の確認や、薬事・食品衛生審議会の事前評価を受けることになる。
薬価制度では、6カ月以内の公知申請、1年以内の治験が、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の条件となっているが、公知申請の場合、開発要請から6カ月以内に会議へ申請資料を提出すれば、正式な公知申請を済ませていなくても、加算要件を満たしたことになる。
また、今回結論に至らなかった129件については、WGで評価を継続する。ただ、このうち3分の1程度は、欧米4カ国で薬事承認されずに、保険ルールのみで使用されている。厚労省は、これら欧米未承認品目について、国内における薬事上の取り扱いを慎重に判断するため、医療上の必要性以外に、エビデンスの集積状況も含め、総合的な検討を行うこととしている。次回会合は6月に開催される予定だが、どこまで対応が固まるかは流動的だ。
該当最多はファイザー
なお、開発要請対象はファイザーの延べ7件が最も多く、グラクソ・スミスクライン、ノバルティスファーマ、サノフィ・アベンティス、ノーベルファーマら海外大手や塩野義製薬、エーザイらがそれぞれ5件程度、中外製薬、田辺三菱製薬、日本新薬、ヤンセンファーマが各3件で、国内大手の武田薬品工業は1件、第一三共は2件で、アステラス製薬は該当品がなかった。