文部科学省が公表した、大学等における産学連携等実施状況調査(2009年度実績)によると、09年度の大学と民間企業の「共同研究件数」は1万4779件で、前年度に比べて195件(1%)減少し、「研究費受入額」も約295億円と、過去最高だった前年度に比べて、約45億円(13%)減少したことが分かった。一方、大学等が製薬会社から受託した医薬品の治験等収入は、8%増加し179億円となった。
調査は、大学等における▽共同研究▽受託研究▽知的財産の創造・管理・活用▽寄附金▽治験等収入――の状況などを把握することで、今後の産学官連携施策の検討・立案に反映させることを目的に、毎年行っているもの。国公私立大学や国公私立高等専門学校、大学共同利用機関など、1107大学等を対象に調査された。
それによると、「共同研究件数」は、前年度と比べて件数、金額ともに減少した。このうち、中小企業と行った件数は4268件で前年度比119件(3%)増、外国企業と行った件数も前年度比52件(41%)増の179件だった。
また、「受託研究件数」は6185件で、前年度と比べて240件(4%)増加しているものの、「研究費受入額」は約112億円と、約1億円(1%)減少していた。
受託研究全体で見ると、相手先別の受入研究費は、独立行政法人等が約948億円(57%)、次いで国が約532億円(32%)、民間企業は約112億円(7%)で、民間企業からの受託研究費が少なかった。
一方、大学等の治験等実施件数は6万4313件で、前年度比23%減少したが、収入は約178億で8%増加した。このうち、国立大等は約79億円で3%増、私立大等は約87億円で12%増、公立大等は約12億で12%増加した。なお、件数では国立大等が約25%減少したのに対し、公・私立大等は増加している。また、国立大等における寄附金収入は、前年度比約111億円(14%)減の約707億円にとどまった。
文科省は、産業界からの共同研究資金が減った要因について、「09年度はリーマンショック後の世界的な経済不況の影響もあり、産学官連携活動の各種実績については、総じて伸び悩む結果となった」と分析している。
しかし、ライフサイエンス分野の共同研究件数、中小企業、外国企業との共同研究件数については、それぞれ252件(5%)、119件(3%)、52件(41%)増加しており、「厳しい経済情勢下で、これらを対象とした産学官連携活動が活発になされている」と評価している。