競争環境の激しいOTC医薬品のカテゴリーでは、処方設計やパッケージデザイン、広告コミュニケーションなどをリニューアルすることで、新たな製品価値を訴求し、ブランド活性化につなげる取り組みが欠かせない。第一三共ヘルスケアでは、好評に推移している「新三共胃腸薬」シリーズの製品名称を、企業名に合わせて「第一三共胃腸薬」に改めた。同じく今月には、クラシエ薬品が止瀉薬「ワカ末」のシリーズ品「新ワカ末プラスA錠」を、38年ぶりに改良新発売した。いずれもロングセラー商品で、リニューアルを通じて新規層へアピールし、さらなる需要拡大を目指す。

第一三共ヘルスケアが1957年から発売してきた「新三共胃腸薬」シリーズは、消化酵素タカヂアスターゼをベースに、食べ過ぎ・飲み過ぎ、胃もたれなどの胃の症状に、優れた効果を発揮する胃腸薬ブランドとして、根強い支持を得ている。
近年は、多様化する現代人の胃腸症状に対応した製品ラインナップが揃い、中でも07年に発売した「新三共胃腸薬プラス」は、リパーゼAP12、タカヂアスターゼN1、6種の健胃生薬、乳酸菌を配合し、弱った胃に効くと共に、腸の状態を正常に近づける胃腸薬として、好調に推移している。09年度の新三共胃腸薬類の売上高は、新三共胃腸薬プラスが堅調な伸びを見せたことで、7・8%増の35億円と伸長している。
今回、企業名に合わせて名称を変更したのは7製品で、新名称は「第一三共胃腸薬〔細粒〕」「第一三共胃腸薬〔錠剤〕」「第一三共胃腸薬〔細粒〕14包」「第一三共胃腸薬プラス細粒」「第一三共胃腸薬プラス錠剤」「第一三共胃腸薬グリーン微粒」「第一三共胃腸薬グリーン錠」(いずれも第2類医薬品)となった。
なお、今回はパッケージデザイン以外の変更はなく、同社では「引き続き新たな製品名称で、より多くのユーザーから信頼される製品となるよう、努めていく」としている。

クラシエ薬品の「ワカ末」は、1917(大正6)年に中村滝商店(後の中滝製薬)によって発売された、黄色いパッケージのロングセラー止瀉薬。なお、クラシエの薬品事業は66年に山城製薬、71年に中滝製薬の両社の経営権を、当時の鐘淵紡績が譲り受けたことから始まる。この「ワカ末」のシリーズ品「新ワカ末プラスA錠」(第2類医薬品)が今回、リニューアルされた。
同品は、黄柏から抽出されたベルベリン塩化物水和物を配合しており、リニューアルでは、消化促進による止瀉作用のある成分として、新たにサンザシ末を配合すると共に、甘みのあるフィルムコート錠に改めた。
下痢、消化不良による下痢、食あたり、はき下し、水あたり、くだり腹、軟便に効果があり、成人(15歳以上)1回2錠、8歳以上15歳未満は1回1錠を、それぞれ1日3回食後に服用する。税込み希望小売価格は、60錠入り1260円、100錠入り1890円。