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薬局業務、改めて見つめ直す時期

2010年8月20日 (金)

 厚生労働省がこのほど発表した2009年度概算医療費の動向によると、医療保険と公費負担を合わせた1年間の医療費が、対前年度比3・5%増の35・3兆円となった。その中で調剤医療費は、7・9%増の5・9兆円で6兆円に迫る勢い。医療費全体のシェアもわずかだが増え、16・7%を占めていたことが明らかになった。

 また、調剤医療費は医療費全体の伸び率に比べて、高い伸び率を示している。7年連続で過去最高を更新した医療費だが、「その中で調剤ばかりが伸びている」というような声が聞こえてきそうだ。

 さらに、稼働日数補正後の調剤の伸び率では8・1%を示し、処方せん1枚当たり医療費は6・3%増の8000円で、伸び率は07年度程度であった。処方せん枚数は1・5%増の7・3億枚と堅調に推移している。

 また同時に、調剤医療費のうち、電算処理分の年度集計も発表された。調剤レセプトのうち電算処理割合は、医療費ベース、処方せん枚数ベースともに99・0%に達しているという。単純にほとんどの薬局が、電算処理しているともいえる数値だ。

 電算処理分の処方せん1枚当たり医療費は8034円と、初めて8000円台に突入した。ただ、稼働日数補正後の処方せんの単価は8000円となっている。

 調剤医療費の大きな伸び率・金額、あるいは電算化率99%という数値も場合によっては、乱暴な論議に活用されやすい。日本薬剤師会には、適切な説明ができる準備をしておくことが望まれる。処方せん1枚当たり技術料は2010円で、調剤医療費の25%を占めるに過ぎない。

 とはいえ、国家財政が逼迫している中、医療費が伸び、しかも毎年度、大きな数値を更新している調剤に注目が集まるのは自然な流れ。日薬幹部の中には、医薬分業の意義・必要性、つまり「医薬分業のメリット・デメリット」論が再燃するのではと、警戒する向きもある。

 1874(明治7)年に薬舗主(後の薬剤師)に、調薬権(=調剤権)が賦与され、医薬分業が原則的に承認されて以来、130有余年を経ても、「調剤」が未だ薬剤師の専権業務に至っていない。警戒するのも分からなくはない。

 一方、日薬では、厚労省の補助金事業の一環として研究班による「薬歴調査」を行い、薬剤師業務の視点から糖尿病治療薬を焦点にプロトタイプを作成。その結果を受け、標準的な“薬歴”を検討していくという。

 薬歴はいまや薬歴管理指導料算定のための要件であり、そのために最低限必要な項目も示されている。

 もう一つの視点として、薬歴は患者の安心・安全で、かつ有効な薬物治療を継続するためのツールでもある。ただ、多くは前者の視点に陥りがちであり、本当にその意義を理解し、患者のために活用されているのであろうか。

 今回の検討では、プロトタイプを使った服薬コンプライアンスと、血糖コントロールとの明確な関係は見出せなかったが、薬剤師業務によってメリットを数値化し得るヒントが得られた。

 薬剤師・薬局だからできること。提供できるメリットを数値で示せるチャンスでもある。ただ一部には薬歴、分業そのものの意義を理解・説明できるような生涯研修も必要かも知れない。




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