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【ジェネリック医薬品品質情報検討会】イトラコナゾール先発品の“溶出”ロット間差‐承認規格には適合と判断

2010年10月08日 (金)

 ジェネリック医薬品品質情報検討会は6日、ロット間で溶出プロファイルのバラツキが指摘されていた、先発品のイトラコナゾール製剤について、生物学的同等性は否定されたものの、いずれのロットの製剤も、承認規格には適合していたため、薬事法上の問題はないとの見解を発表した。

 難溶性のイトラコナゾールは、消化管液に溶けにくく、吸収性が低いため、先発品、後発品ともに、アモルファス化という特別な製剤工夫が行われている。ただ、特別な製剤加工を行うと、均一な品質で製剤を製造することが難しくなる。学会などからは、特殊な製剤特性を持つイトラコナゾール製剤間の血中濃度の違いが指摘されており、検討会のワーキンググループで検討を進めていた。

 その過程で、後発品企業から、先発品(ヤンセンファーマのイトリゾールカプセル)のロット間で、溶出プロファイルのバラツキが大きいのではないかとの指摘があったことから、先発企業が先発製剤のロット間の生物学的同等性試験(健康成人における薬物血中濃度の比較試験)を実施したところ、最高血中濃度(Cmax)および血中濃度‐時間曲線下の面積(AUC)のいずれにおいても、生物学的に同等であると判定することはできない、との試験結果が得られた。

 さらに、過去の溶出試験結果の推移を見ると、2006年頃から溶出が速まり、血中濃度が高くなる製剤へ変化した可能性が否定できないことも分かった。そこで、企業に対し有効性・安全性に関する説明を求めたところ、今回、企業から▽イトラコナゾール抗菌活性の特性から有効性への影響はない▽副作用である肝障害等の報告に増加傾向が見られていない--ことから、「ロット間のバラツキによる製品の有効性・安全性への影響はないと考える」との説明があり、検討会はこれを了承した。

 検討会では、「医療現場において、こうした製剤の特性を理解して使用することは医療上有益」とし、「先発企業においては、今回の結果を各医療機関に情報提供することが適当」とした。

12成分180製剤、品質には問題なし

 この日の会合ではこのほか、9月に開いた検討会で、学会発表や文献、医薬品医療機器総合機構に寄せられた相談などで、品質上の問題が懸念された、▽ウルソデオキシコール酸錠▽エチゾラム錠▽シメチジン錠――など12成分180製剤について、国立医薬品食品衛生研究所などが試験を行ったところ、特に問題となるものはなかったとの結果が報告された。

 また、検討会では、「ニトレンジピン錠」「プレドニゾロン錠」を新たに試験対象に加えたほか、委員から、シスプラチンの先発品と後発品で、腎毒性の発生頻度を比較した文献があるとの指摘があったため、文献情報などを得て、検討対象に加えるかを調査することとした。



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