厚生労働省医薬食品局安全対策課は12日、糖尿病治療薬のGLP‐1アナログ製剤「ビクトーザ皮下注18mg」(一般名:遺伝子組み換えリラグルチド)が、インスリン治療から切り替え後の投与で、糖尿病性ケトアシドーシスを発症し、死亡例も報告されたことを受け、製造販売元のノボノルディスクファーマに「使用上の注意」を改訂すると共に、ブルーレターを配布し、医療関係者に情報提供するよう指示した。
ビクトーザは、6月11日に発売された国内初のGLP‐1受容体作動薬。1日1回の皮下投与で、インスリン分泌を血糖値に応じて促進させると同時に、血糖値を上げる「グルカゴン」の分泌を抑制し、2型糖尿病患者の血糖をコントロールする。このため、インスリン分泌能のない1型糖尿病患者への投与は禁忌で、インスリン治療が不可欠な2型糖尿病患者への投与も注意が必要とされている。
企業からの報告によると、6月11日から今月7日までに、同剤投与症例全体で、ケトアシドーシスが4例(うち2例死亡)、高血糖が16例発現していたことが判明。この20例のうち17症例が、インスリン治療から同剤への切り替え後の発症だった。
血糖の上昇やケトアシドーシスの発症は、インスリン依存状態の患者が、同剤を使用するに当たり、これまでのインスリン療法を中止したことで、高度のインスリン作用不足状態に陥ったためと考えられる。
そのため、添付文書の「重要な基本的注意」の項に「本剤はインスリンの代替薬ではない。本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリンから本剤に切り替え、急激な高血糖および糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている」を追記し、適正使用について注意喚起した。