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【第5回日中製薬交流セミナー】中国で「医療改革」が進行‐医療保険加入9割目指す

2010年10月21日 (木)
日中の行政、製薬関係者約250人が参加した

日中の行政、製薬関係者約250人が参加した

 中国が進める医薬衛生体制改革の要点が、大阪市で開かれた第5回日中製薬交流会セミナーで報告された。改革では、2011年までに全国民の約9割の加入を目指して、医療保険制度の浸透に取り組んでいるほか、必要最低限の「基本医薬品」を定め、使用を促進している。こうした改革に経済発展が重なり、中国での医薬品ニーズや市場が今後さらに拡大し、製薬会社に発展のチャンスがあるとの見通しが示された。

 セミナーは毎年、日本と中国で交互に開催。大阪府と中国国家薬品監督管理局(SFDA)国際交流センターの主催で開かれた今回のセミナーには、日本と中国の行政、製薬関係者ら約250人が参加した。

 医薬衛生体制改革の概要については、白慧良氏(中国非処方薬物協会会長・元SFDA薬品安全管理司長)と、厳浩氏(イーピーエス社長)が解説した。

 医療インフラが十分に整備されていない中国では、診療費用が高いことや、受診が難しいことなどが課題となっている。これらの課題解決に向け、医薬衛生体制改革が09~11年の3カ年計画で進行している。

 改革の骨子は五つ。その一つが、医療保険への加入率の大幅な向上だ。この3年間に約8500億元(約12兆円)が投じられ、10年には都市部住民の加入率を9割に、11年には農民部住民の加入率も約9割に高めるべく、改革が進められている。

 もう一つは、必要最低限の「基本医薬品リスト」(EDL)の本格的な構築。公的な末端の医療機関には全て基本医薬品を配備し、使用を促している。その推奨小売価格は国が決定。全ての基本医薬品は医療保険の給付対象とされ、給付率は他の医薬品より高く設定される。

 このほか、医薬衛生体制改革として、▽末端の医療機関の新設・拡充▽公衆衛生サービスの促進▽公立病院の改革促進‐‐が進んでいる。

白氏

白氏

 白氏は、これらの改革によって、▽基本医薬品のニーズが大幅に増加し、これを製造する会社に発展のチャンスがある▽公衆衛生サービスの向上でワクチンの需要が高まる▽中・低クラスの診断・治療・消毒用設備や医療用消耗品のニーズが拡大する‐‐などと述べ、「医薬業界に急成長のチャンスがもたらされる」と話した。

 また、中国の製薬業界は前年同期比17・56%の急発展を維持し、製薬会社上位100社の売上高が業界全体の40・59%を占めるなど、産業の集中度も向上。公民の投資によって、ジェネリック医薬品主体から、先発薬開発へと業界モデルが移行しつつあるとし、「(中国の)医薬産業は急成長とレベルアップを実現し、イノベーション能力も向上している。今後は、国際競争への参画を目指す」と白氏は語った。

厳氏

厳氏

 一方、厳氏は、バンクオブアメリカ・メリルリンチの推計値として、▽中国の医薬品市場は10年の490億ドルから20年には1772億ドルに拡大する▽このうち、ブランド薬の市場は現在の70億ドルから、20年には470億ドルに伸びる余地がある‐‐と紹介。「日本の製薬企業は欧米の製薬企業に比べ、中国への進出が遅れている」と述べ、さらなる進出を促した。



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