厚生科学審議会予防接種部会「ワクチン評価に関する小委員会」の作業チームは18日、▽ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)▽肺炎球菌▽ヒトパピローマウイルス(HPV)▽水痘▽B型肝炎▽おたふくかぜ――の6疾患のワクチンを、予防接種法の定期接種に位置づけるべきとする中間報告を行った。また、▽百日せき▽ポリオ--の定期接種を継続し、運用を見直すことも求めた。11月中旬の会合で、優先順位を含めて対処方針を取りまとめ、下旬の予防接種部会へ報告する。
作業チームは、8疾患について、罹患による影響、予防接種の効果・安全性・コストベネフィット、接種方法などの観点から評価を進めている。
Hibについては、小児の死亡や後遺症を残す例が発生していることから、キャッチアップ接種を含め、生後6週後以降から接種を開始するよう求めている。
肺炎球菌は、侵襲性の感染症が24カ月未満の小児で最大となるものの、5歳以上でも罹患が見られるとし、小児用ワクチンについて、5歳までの全例と、それ以上の年齢児のハイリスク・グループのキャッチアップ接種の検討を提案。高齢化を考慮して成人用ワクチンの導入も促している。
HPVは、接種前の十分な問診、接種後30分の観察、アナフィラキシー様症状など、重篤な副反応に対する処置の準備を留意点として挙げ、予防接種を受けても、子宮頸癌の定期検診を受ける必要があることなどを指摘している。
水痘については、小児の軽症疾患と考えられる傾向があることを問題視。毎年100万人以上が罹患し、重症化して入院する患者が4000人程度と推計され、抗ウイルス薬が開発されているにもかかわらず、死亡も20人前後発生している現状を、正しく理解すべきとの見解を示した。全小児を対象とした予防接種を行う必要性を強調している。
B型肝炎は、主にウイルスキャリア率の低下のために乳児期、B型急性肝炎の減少のために思春期にワクチン接種を行うと共に、報告漏れの多いとされる感染症法上の急性B型肝炎患者届け出の徹底や、継続的な実態調査を求めている。
おたふくかぜについても、小児の軽症疾患と認識されがちなことを、予防の障害として指摘。実際には罹患後の難聴が不可逆的で、合併症も軽症といえず、任意では接種者が少なく、現在も4~5年ごとに大規模な全国流行を繰り返しているとし、他のワクチンとスケジュールを調整して、2回接種を行うよう提案している。
このほか、百日せきについては、現行は幼児期のジフテリア、破傷風との3種混合ワクチン(DTP)の定期接種のみとなっているが、青年・成人層での再興を踏まえ、小学6年期のジフテリア、破傷風の2種混合ワクチンも、DTPに置き換えるよう提言。さらにポリオについて、現在は経口生ワクチンとなっている定期接種を、不活化ワクチンに変え、DPTとの混合ワクチンを導入する考え方を示している。