薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会は24日、消化管運動調整薬のドンペリドン(医療用販売名:ナウゼリン錠)と、抗アレルギー薬のベポタスチンベシル酸塩(タリオン)、オロパタジン塩酸塩(アレロック)、セチリジン塩酸塩(ジルテック)について、医療用から一般用への転用を認めることを了承した。スイッチOTC薬は合計21成分となる。
日本薬学会が3月末にまとめた報告書では、19成分が候補に挙がっていた。この中には糖吸収抑制薬のボグリボース、アカルボースも含まれ、「糖尿病の初期治療が可能で、セルフメディケーションによる症状発現・進展の予防はリスクを上回る」として、薬剤師が販売時に考慮すべき項目を整理した販売実践ガイダンスと共に、スイッチ化を提案していた。また、ACE阻害薬のカプトプリルなど12成分や、コレステロール吸収抑制薬コレスチミドも候補に選定されていた。
しかし、厚生労働省が5月に、日本医学会とその分科会108団体から意見を募ったところ、15成分に対して9団体から、医師の診断を必要とする指摘が出たため、スイッチを見送ることとなった。
追加する4成分の投与経路は、いずれも内服。ドンペリドンは、長期使用で重篤な副作用が報告されていることを踏まえて頓用とし、小児への過量投与が懸念されるため、小児の使用に十分注意することとした。また、医療用で禁忌となっている妊婦等が服用した場合に過剰な不安を与えないよう、取り扱いに留意することも求める。
ベポタスチンベシル酸塩、オロパタジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩の3成分については、医療用で承認されている蕁麻疹や湿疹などの効能・効果を認めると、広範囲にわたる原疾患が表面化しない可能性があるため、アレルギー性鼻炎に適応を限定した。
部会了承を受けて厚労省は、製薬業界に通知を発出して周知を図り、承認申請を促す。また、さらなる候補成分の選定に向け、薬学会で昨年度と同様の検討作業を進める。