田辺三菱製薬の土屋裕弘社長は11月26日、大阪市内で開いた記者懇談会で、来年春に発表予定の次期中期経営計画(2011~15年)について言及し、既存の主力品の伸長に加えて、新製品ラッシュによる業績拡大への手応えを強調した。
土屋氏は、10年度が最終年度となる「中期経営計画08~10」の進捗状況について、「売上高、数値目標ともに達成できない見込みにある」と、未達に終わるとしたものの、「国内営業体制や研究開発をはじめとする質的な面の強化には成功した」と述べた。
その上で、土屋氏は「次期中計期間中に、国内で6品目以上の新製品の上市を見込んでいる」と述べ、新たな成長ドライバーとして、特にノバルティスと共同開発中の多発性硬化症治療剤「FTY720」を挙げた。
FTY720は、10月に米国・ロシアで承認を取得し、米国では既に販売を開始。欧州でも年度内の申請を予定している。土屋氏は「多発性硬化症は世界で250万人の患者が存在する」と、市場が大きいことを強調。「既存の注射剤では、十分な治療満足度が得られておらず、新しいメカニズムを持つFTY720は、経口投与が可能な第一選択薬として、大型化が期待される」とした。