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【英リッチモンド/トイベル社長】QT試験の受託拡大狙う‐日本人被験者パネルに強み

2010年12月24日 (金)
左からドイベル氏、ローチ氏

左からドイベル氏、ローチ氏

 英CROのリッチモンドファーマコロジーは、日本人被験者パネルを用いた初期臨床試験の受託を強化する。特にICH‐E14ガイドラインの国内施行を受け、薬剤の不整脈作用を評価するサロQT試験の強みを打ち出し、国内製薬企業からの受託増を狙う。ヨルグ・トイベル社長は、本紙のインタビューに「われわれにとって日本は重要な市場。白人と日本人の比較試験を強みに、日本人被験者を対象としたサロQT試験の受託を増やしたい」と意気込みを語った。

 リッチモンドは、初期臨床試験に特化したCROで、ロンドン市内のセントジョージズ大学病院とメイデー大学病院に、100床の第I相試験専用施設を設置。2008年には英国当局の認定を受けた。被験者の安全保証が証明されたことで、ヒトに初めて薬剤を投与するファースト・イン・マン(FIM)試験など、高リスクの治験をはじめ全ての第I相試験を実施できるようになった。

 同社の特徴は、FIM試験、日本人被験者対象のブリッジング試験、サロQT試験、患者対象のPOC試験を実施できることにある。特に2500人の日本人ボランティアパネルを構築し、メディカルディレクターのウルリケ・ローチ氏を中心に、経験豊富な医師で構成する日本人チームが治験を実施するなど、日本市場を重視する布陣を敷いている。白人と日本人被験者の薬物動態試験をはじめ、ブリッジング試験の経験が強みとなっている。

 また、日本で大きな注目を集めているサロQT試験も得意とする。第I相試験専用施設に独自の心電図測定設備を設置しており、心電図解析と臨床試験がリッチモンドの専用施設で全て実施できる。大学病院に併設していることから、サロQT試験に詳しい心臓専門医の万全な支援も受けられる。さらに、豊富な日本人ボランティアパネルを活用することで、日本人対象のサロQT試験を実施できることを特徴に打ち出す。

 トイベル氏は「ロンドンは日本人留学生などが多いため、健常人試験が行いやすい環境にあり、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)も、サロQT試験で日本人データを要求しているので、われわれの強みを生かせる」と強調する。

 これまでリッチモンドは、12試験のサロQT試験を経験しており、最近国内製薬企業1社からの受託に成功。日本人被験者を組み入れたサロQT試験を実施しているという。また、サロQT試験の品質向上やコスト改善にも注力しており、心電図のバックグランドノイズの低減に加え、少ない被験者で実施できるよう取り組んでいる。

 11月には、日本でもICHガイドラインが施行されたことを受け、サロQT試験の受託増を狙いたい考え。日本のPMDAは、サロQT試験で日本人データを要求しているため、日本人と白人の違いなど、QT延長に関する人種差を検討する必要が出てきているためだ。

 既に東邦大学医学部の杉山篤教授との共同研究で、日本人被験者48例、白人被験者48例を対象としたレボフロキサシンの試験を実施した経験があり、トイベル氏は「日本人被験者を対象としたサロQT試験が科学的に実施できることを強みに、貢献できれば」との考えを示している。

 今後は、日本人のFIM試験やサロQT試験などを組み合わせ、より複雑なデザインの治験に取り組んでいく方針だ。ローチ氏は「単回投与試験と反復投与試験を一つのプロトコールで実施するなど、効率的な初期臨床試験を実施できる」とし、リッチモンドの新たなアプローチを提案している。



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