政府は、新成長戦略に基づいて、産学官のオールジャパンで日本発の医薬品、医療機器、再生医療を生み出すため、7日に「医療イノベーション推進室」を設置した。仙谷由人官房長官を議長とする「医療イノベーション会議」の下で、基礎から実用化まで、切れの目ない研究開発費の投入や基盤整備に取り組むほか、障害となる規制・制度の課題も洗い出す。医薬品については、癌や認知症などが重点領域となっているが、当面は、複数のワーキンググループに分かれて対応策を探り、2012年度予算への反映を目指す。
室長には、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授が就任し、週の約半分は推進室に詰める。非常勤の室長代行を、東京女子医科大学の岡野光夫教授と、島津製作所フェローの田中耕一氏が務める。
次長クラスは、常勤となる国立がん研究センター中央病院の藤原康弘副院長をはじめ、学界から、非常勤で妙中義之国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長、門脇孝東京大学大学院教授、小川修京都大学教授、澤芳樹大阪大学大学院教授が名を連ねた。産業界からは土屋裕エーザイ常務執行役、高橋俊雄富士フィルム専務執行役員が名を連ね、行政からは立岡恒良内閣官房内閣審議官が参画する。
東京・永田町合同庁舎に置いた推進室の看板除幕式では、仙谷氏が「シーズは数限りなくある。日本人の英知を結集した医療イノベーション推進室のこれからの活動に、国民の多くが期待し、応援もしてもらいたい」とあいさつした。