七草粥、鏡開きも無事に終わり、いざ戦闘態勢というのが剤界の体制だろう。昨年、行政刷新会議規制・制度改革分科会ライフ・イノベーション・ワーキンググループ(WG)から、「調剤基本料を24点に一元化」という、予想だにしない、まさに目の覚めるようなの“クリスマスプレゼント”があった。年明け早々の日本薬剤師会の定例会見では、満を持してか、待ち切れずにか、児玉孝会長自ら「24点一元化」への不満を訴えた。
調剤基本料は2008年度改定の時に、なぜか後発品使用促進を“理由”に、42点から40点に引き下げられた。04年度当時と比べ最大10点近く下がった。それでも医科、歯科との全体バランスや、調剤報酬における位置づけなどを長年議論してきた結果を受けての“原則40点”だった。
「あれだけ長い議論をして決めてきたことを、簡単な議論で24点にするとは、非常に怒りを感じている」(児玉会長)とは、剤界人であれば、誰しも同感だろう。
ましてや、「40点の薬局が全体の99%という現状の中で、一元化というのであれば40点だろう。安易な結論の出し方は納得できない」と児玉会長は憤慨して見せ、政界も含め広くロビー活動を展開していくことを改めて示唆した。
今年度改定で、ようやく0・52%と前回の0・17%(08年度)よりは“引き上げ”という数値を得たばかりなのに、次期改定は既に厳しい環境に放り込まれるやに映る。
今年も本紙で保険薬局調査結果を紹介しているが、10年度調剤報酬改定に対する現場の保険薬局の評価は、「やや満足」を含めても“満足”は18%と2割に満たない。逆に“不満”は47%とほぼ半数に達した。
WGの結論が、今年後半の規制改革についての検討課題として正式に上がってくるようであれば、今夏から本格化するであろう次期診療報酬改定議論では、少なくとも「調剤基本料一元化」「大幅引き下げ」をセットにした大圧力がかかってくることは、容易に想像がつく。
万が一、そのような事態になれば、大多数の地域薬局が大打撃を受けるのは必至。08年度の調剤基本料2点引き下げだけでも、多くの薬局がかなりの打撃を受けたとされる。一気に16点マイナスというか、半減されては立ちゆかない薬局が続出。日薬の執行部総辞職も免れまい。
ただ、先の会見で児玉会長は「医薬分業そのものが、本当に国民の役に立っているのか、エビデンスを示していかなければならない」と、最近の分業に対する疑問視・批判は十分認識している。もちろん、分業の検証と報酬面の議論は別物とのスタンスだが、その意向が汲み取られるかは疑問だ。
現執行部の中心は、若かりしころ“分対委員”として、医薬分業の意義を唱え、薬剤師・薬局の役割を訴え、医薬分業を推進する活動に取り組んでいたと記憶している。それから早四半世紀が過ぎた今、再び戦闘態勢を整える必要性に迫られている。
しかも、今回はかつての挑戦者の立場とは逆の“防衛戦”だ。これまで唱えてきた分業の理念が、どう現場に普及し、患者に利益をもたらしているか。その結果を自ら評価し、自らの必要性を社会に対し改めて訴える立場にいる。調剤報酬改定議論共々、厳しい対応が求められている。その手腕が注目される。