テルモは7日、米輸血関連企業大手のカリディアンBCTを26億2500万ドル(約2160億円)で買収すると発表した。輸血関連事業を成長戦略の一つに位置づけてきたテルモは、カリディアンの買収によって、成分採血装置の高い技術と欧米市場を一気に確保。医療インフラの整備が進み、需要拡大が見込まれる新興国市場もカバーし、輸血関連企業の世界トップに浮上する。同日夜、都内で記者会見した新宅祐太郎社長は、「今回の買収により、輸血関連事業のグローバルリーダーとなり、これをエンジンに新たな成長へ大きな一歩を踏み出したい」と語った。
カリディアンは、主力の成分採血装置をはじめ、血小板採血に高い技術を持ち、欧米を中心に世界90カ国に展開する大手輸血関連企業。今回の買収は、米国・欧州・中南米の販売網に加え、成分採血システムの技術を獲得するのが狙い。これにより、テルモの輸血関連事業の売上高は約700億円に拡大し、グローバルリーダーの地位を獲得する。
今後、両社の強い補完性を背景に、高齢化で癌患者が増加する先進国、医療水準の向上が進む新興国の需要拡大をカバー。血液バッグから成分採血の自動装置まで、幅広い製品群を確保した上で、新たな「血液マネジメント事業」を展開していく方針。参入障壁の高い輸血関連事業で大型買収を実行することで、売上高1兆円の目標に向けた成長エンジンと位置づけたい考えだ。
新宅氏は「1兆円の達成まで先は長いが、まず輸血関連事業の成長に集中し、次の機会を目指していきたい」と語った。
カリディアンは、1964年に米コロラド州に設立された非上場の大手輸血関連企業。従業員数は約2300人で、昨年度売上高は5億2400万ドル、営業利益は1億2600万ドル。2000年以降、平均成長率12%を達成している。