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学界も復興に向けた取り組みを

2011年3月25日 (金)

 日本薬学会は明治13(1880)年、わが国では最も古い学会の一つとして誕生し、今年で131年目を迎えた。その第131年会、静岡開催が中止となった。11日の東日本大震災、まだ対応に追われる福島原発事故、度重なる余震などを背景に、参加者の「安全」確保が焦点となった。

 第2次世界大戦という戦時下でも開催され続けた年会だったが、初の開催中止となった。大震災後の余震が続く中、結果的には別とされたが、「東海地震」を連想するほどの大きな地震が、開催地を襲ったのが、“中止”の決定打になったのではないか。

 他の学会の動きとして、4年に1度開催される、わが国最大の学会・医学系イベントである「第28回日本医学会総会」が早々に中止を決定。前後して数多くの医系学会が次々と中止となり、一気に自粛ムードが日本中を覆い尽くした感もある。

 交通機関の問題から、参加者が本当に集まるのか、予定通りの内容で開催することができるのか、などといった物理的な面のほか、目に見えない圧力もあり、断行するか中止するかの判断が非常に難しかったことは想像できる。

 それでも敢えて言わせてもらえれば、学会中止が被災者・被災地の救援、支援に対し、直接役立つかといえば疑問は残る。

 学術講演会以外にも各賞授賞式や祝賀会、コンサートなど、多くの行事が中止となっている。大停電の発生予防の観点から、節電が求めれ、さらに計画停電が行われるようになる中であり、致し方ないことともいえる。

 ただ、被災者の気持ちを考えてという意味では、わが国の生命線である科学技術、学問の進展を滞らせるわけにはいかない。福島原発を含め、復興のために先端知識や技能が投入されているが、それらは日々の地道な研究と、各学会等の相互研鑽の成果にほかならない。

 学会、研究会については、ぜひとも規模を縮小するなりし、日本の復興・再興、世界との競争力維持のために、関係者間の努力で“正常化”を急いでもらいたい。参加費などから支援金を捻出するなど、人が集まることによる利点にも目を向け、前向きな姿勢で将来を捉える必要があるだろう。

 とはいえ、現在の東北から北関東にかけての被災状況を見ると、日を追うごとに死者、行方不明者の「数」が増えている。警察庁発表によれば、震災後約2週間の時点で、死者は1万人に迫り、行方不明者は1万5000人に迫っている。このことは、救助隊がより被害の大きな地域へ、救助の手を伸ばしている裏返しともいえる。

 沈滞ムードをさらに落ち込ませた大震災と、その後の自粛ムードの中、第83回選抜高校野球大会が23日、西宮市の甲子園球場で開幕した。例年のこととはいえ、16年前に阪神・淡路大震災に見舞われた地での開催だ。

 東北地方から青森県八戸市の光星学院高校、宮城県仙台市の東北高校、さらに被災報道の“枠外”の北関東からも水戸市の水城高校が出場する。球児たちは、誰に言われることなく、例年以上に力一杯頑張るだろう。本当に久々の明るいニュースだ。

 下向き加減のわれわれ“大人”としては、今こそ「政治主導、民間活用」を大いに発揮し、将来を見据えた計画的かつ持続可能な支援・復興体制を考えるべきだ。




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