厚生労働省は新医薬品の再審査期間を、現行の原則6年から8年に延長する方針を決めた。3月の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で正式に決定される見通しだ。希少疾病用医薬品を除く、現在再審査期間内にある2001年4月以降に承認された新有効成分含有医薬品がその対象になるが、今後部会で審議する新有効成分含有医薬品も、原則8年として取り扱う。
再審査期間の延長は、「知的財産推進計画2006」に定められている、医薬品のデータ保護期間を8年に延長することにも応える形となっており、業界が求めていたデータ保護問題が事実上、決着する。同時に業界が要望していた「後発医薬品(GE)の年2回収載」への対応が今後の焦点となるだろう。
そもそも、再審査制度は1979年の薬事法大改正で、法制化されたもの。その際、新医薬品の再審査期間は6年と定められた。
また、93年の薬事法改正では希少疾病用医薬品や6年以上の調査期間が必要な医薬品については、その承認から6年を超え10年を超えない範囲内で定めることができるようになり、実際には希少疾病用医薬品の再審査期間を10年としてきたほか、一部の医薬品についても6年を超える再審査期間を設けるなどしてきた。
医薬食品局の説明によると、再審査期間延長の背景には、▽重要な使用上の注意の改訂は承認後7年をピークとして、承認後508年の間に比較的多い▽承認後8年までに改訂の約7割が行われている――などの傾向がみられるとしている。こうした点から同局は、新医薬品の再審査期間を現行の原則6年から原則8年に延長するのが望ましいと指摘。あくまでも、安全対策上の観点からの措置だと話す。
しかし、再審査期間中に新医薬品と同等の医薬品の承認申請が行われた場合には、医薬品の品質、有効性、安全性を確保する観点から、これまで新医薬品の承認後6年間は、新医薬品同様の試験データを添付することが求められていることから、再審査期間が結果として新医薬品の試験データを保護する期間にもなる。
つまり、今回の再審査期間8年へ延長することは「知的財産計画」の中で、厚労省として対応が求められていた医薬品臨床試験のデータ保護8年が、事実上措置されたのと同じことになる。
データ保護期間の延長の実現が見えてきたことで、今後の焦点は業界がセットで要望していた「GEの年2回収載」への対応である。
これについて、医政局経済課は「日薬連の要望書を真摯に受け止め、医療課と話し合っている」とし、医療課も「具体的に何も決まっていない」とし、詳細は未定との立場をとっている。
しかし、この要望に関しては、製薬協と医薬協、双方の意見の食い違いがあった中で、最終的に「新有効成分含有医薬品の承認審査データの保護期間は8年間とする」ことを受け入れる代わりの見返りとして取り上げられた。ある幹部も、「データ保護の問題とGEの年2回収載を求める要望はセットであり、当然何らかの対応をせざるを得ない」と漏らしてる。
06年4月改正の目玉だった処方せん様式の変更も、これまでのところ、GEの使用促進にそれほど影響を与えていない現状を考えると、今後、中央社会保険医療協議会においても、GEに関する議論が焦点になることが十分予想されるだけに、これからのGEをめぐる議論の行方に目が離せない。