
モールディング社長
サノフィ・アベンティス日本法人のジェズ・モールディング社長は、6月28日に都内で開いた記者会見で、事業の多角化を推進する方針を示した。今後5年間で、ワクチンやジェネリック医薬品(GE薬)、稀少疾患用医薬品など、ヘルスケア領域で新たな事業の柱を育成し、持続的な成長を目指す。モールディング氏は、「従来の製薬企業のビジネスモデルではなく、ヘルスケア全般を対象としたサービスプロバイダーを目指したい」と語った。
同社の2010年度業績は、前年度比7・2%増の2851億円。事業の柱に位置づける血栓・循環器領域、糖尿病、オンコロジー、ワクチンの4領域全てで伸長し、市場平均を大幅に上回る成長を達成した。
今後5年間は、持続的な成長を達成するため、治療薬の開発・販売のみならず、ヘルスケア領域全般を対象としたサービスプロバイダーを目指していく方針。モールディング氏は、「日本で最も信頼されるヘルスケアリーダーになりたい」と述べ、ワクチンやGE薬をはじめ、米ジェンザイムの買収により獲得したオーファンドラッグ、動物用医薬品、一般用医薬品にも進出し、事業拡大に取り組む意向を示した。
特にワクチン事業では、昨年政府による公費助成がスタートしたHibワクチン「アクトヒブ」に加え、現在開発中の不活化ポリオワクチン、4種混合ワクチン、腸チフスワクチン、髄膜炎ワクチンの上市によって、製品ラインナップを強化する方針。今後5年間にわたって、二桁成長を確保し、国内トップのワクチンメーカーを目指していく。
一方、日医工との合弁会社「日医工サノフィ・アベンティス」を設立したGE薬事業では、グローバルで販売する製品の中から、国内市場に適した品目を導入し、事業基盤を構築したい考え。既に日医工とは、長期収載品5製品の販売移管を行っているが、さらに今後提携を強化し、拡大が見込まれるGE薬市場で、高成長を達成したいとしている。