アステラス製薬は28日、抗Xa阻害剤「ダレキサバン」(開発コード:YM150)について、全世界で開発を中止すると発表した。2月に術後静脈血栓塞栓症(VTE)予防の適応で国内申請を取り下げて以降、他社との提携による共同開発を最優先に検討してきたが、提携先を選定することが難しいと判断。全ての適応症で開発を中止することを決めた。
アステラスは、自社創製したダレキサバンを将来の大型製品と位置づけ、これまでVTE予防、心房細動(AF)患者を対象とした脳梗塞予防、急性冠症候群(ACS)患者を対象とした虚血性イベント予防の適応で、グローバル開発を進めてきたが、多額の費用が必要となる第III相試験以降の開発については、自社単独より他社との提携による共同開発を模索してきた。
また昨年9月には、VTE予防の適応で国内承認申請を行ったが、今年2月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)から新たな追加試験を要求されたことから、国内申請を取り下げていた。
こうした状況を踏まえ、アステラスは、引き続きダレキサバンの開発パートナー選定を進めてきたが、最終的に満足できる条件で提携を行うことが難しいと判断。抗凝固薬市場における競合他社の開発状況や、他の開発品との優先順位などを総合的に検討した結果、ダレキサバンの全ての適応症における開発中止を決定した。
ダレキサバンの開発については、日本国内とアジアでVTEを対象とした第III相試験、AFを対象とした第II相試験、欧州でVTE、AF、ACSを対象とした第II相試験、米国でVTEを対象とした第II相試験を実施していた。