大日本住友製薬の多田正世社長は10月31日、大阪市内で開いた決算説明会で、新発売したグローバル戦略品の非定型抗精神病薬「ラツーダ」について、「立ち上がりは概ね順調だが、予定通りに進んでいない」と述べ、専任MRの増員と米国各州の保険当局への働きかけを強化することで、テコ入れを図る考えを明らかにした。
同社は、グローバル戦略品と位置づける「ラツーダ」を2月に米国で発売。2012年3月期第2四半期で34億円(4100万ドル)の売上高を計上したが、円高や米国各州の厳しい財政状況が影響し、苦戦を強いられている。多田氏は、「立ち上がり目標に対して販売活動が伸びず、予定通りに進んでいない」との認識を示し、米国の営業活動を強化する考えを明らかにした。
具体的には、専任MRをスタート時の336人から360人に増員すると共に、低所得者向けの公的保険「メディケイド」への対応に注力し、米国各州の保険当局に対する働きかけを強めていく。
多田氏は「販売体制と各州政府との交渉力を強化し、周辺環境を整備することで、ラツーダの評価を高めていきたい」との方針を語った。こうしたテコ入れによって、通期は9000万ドルの売上高を見込んでいる。
一方、国内でも4月に発足したCNS事業部の営業体制を強化する方針だ。CNS専任MRを230人に増強すると共に、研究開発部門から知識豊富なスタッフ13人を投入し、「学術推進グループ」を設置。医学的・科学的に高度な専門知識を持つメディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)に倣った役割を果たすことで、CNS品目の学術支援体制を強化する。