行政刷新会議が「提言型政策仕分け」で取り上げ、アルツハイマー型認知症治療薬「塩酸ドネペジル」に後発品メーカー30社101品目が参入するなど、ここ最近、後発品をめぐる話題に注目が集まっている。
医療費は、2010年度の概算で前年度比3・9%増の36・6兆円となり、過去最高を更新。このうち調剤費は6・1兆円で全体の16%を占め、医療費膨張の一因となっているだけに無理もない。
仕分けでは、後発品の普及策として、特許が切れた先発品の薬価を後発品並みに引き下げることや、先発品を使う場合は、後発品との差額の一部を患者に自己負担させる仕組みの導入を検討するよう求めている。
11月28日の後発品薬価収載では、アリセプトや高脂血症治療薬「リピトール」などのブロックバスターの販売に後発品メーカーが乗り出すこととなった。
中でもアリセプトは、価格だけでなく、服用のしやすさや、他の薬と間違えないような工夫が施された製剤の登場に期待が高まる。
膨らみ続ける医療費を抑えるため、中央社会保険医療協議会の場でも後発品の使用を促すための施策が議論されている。
具体的には、「後発医薬品調剤体制加算」の数量割合の引き上げや、調剤薬局で先発品を後発品に切り替えると価格がいくら減るのかを患者に示す仕組みの導入、処方箋様式を見直し、医師に対して後発品への切り替えの可否を、薬ごとに明示するよう求める策などが検討項目として挙がっている。
ただ、薬担規則には、「保険薬局は、後発医薬品の備蓄に関する体制その他の後発医薬品の調剤に必要な体制の確保に努めなければならない。医師が後発品への変更を認めているときは、薬剤師は後発品を調剤するよう努めなければならない」とされており、「本来、薬剤師が行うべきことに対して、点数を付けるのはいかがなものか」という意見が、中医協で後発品の使用促進の議論を行うたびに出てくる。
健康保険組合連合会が行った「医療に関する国民意識調査」で、後発品服用のきっかけは「薬局で薬剤師に勧められた」が最も多く、後発品を服用しなかった理由として「薬局薬剤師に勧められたことがない」が2番目に多かったことにも注目したい。この結果は、薬局薬剤師が後発品使用促進の鍵を握っているという実態を浮き彫りにしている。
薬剤師には、後発品の使用促進は自分たちにかかっていることを改めて認識してもらいたい。後発品を調剤するための環境整備にはコストがかかるのも事実で、必要最低限の要求は必要なのかもしれないが、薬剤師の使命である後発品の使用促進にどれだけ積極的に貢献できているのか、足下を見つめ直してみることも必要ではないか。