薬学生向け就職サイトを確立‐中小規模薬局の情報で差別化
薬剤師を中心に医療系人材の紹介業を手がけるユニヴ(本社大阪市、代表取締役吉田雅信氏)は、薬学生が就職先を探せるWebサイト「ファーネット」(http://www.pha-net.jp/)を2010年に立ち上げた。各地に根ざした中小規模の薬局を中心に取り上げ、そこへの就職を支援するもの。薬局や店舗情報を地域ごとに細かく閲覧できるなど、使い勝手の良いWebサイトになっている。今後さらに登録学生数、求人企業数を増やしたい考えだ。

比叡谷氏
「地域に根づいた、いい薬局が規模の大小に関係なく存在することを薬学生に知ってもらいたい」とするのは、同社ファーネット事業部マネージャーの比叡谷司氏。同サイトに登録されているのは20店舗以下の薬局チェーンが多い。1店舗だけの薬局もある。同様の大手Webサイトには未登録の薬局を中心に取り上げ、差別化を図る戦略だ。
地域志向の薬学生の要望に応えるため、「ファーネット」には地域に焦点を合わせた細やかな情報を掲載している。登録企業の全店舗の名称や所在地は、一覧で表示可能だ。
また、各企業の「ピックアップ店舗情報」として、薬局外観や店舗内の写真、営業時間、店舗従業員数、処方せん受付枚数、処方せん発行機関、薬局形態、応需科目などの情報を載せている。実際にどんな店舗で働くことになるのか、薬学生もイメージしやすい。
このほか、職種や事業形態、勤務地、エリア別など様々な切り口での検索も行える。
薬学生は気になった企業へのエントリーや説明会への参加を「ファーネット」上で申し込む。するとその企業から薬学生に連絡が入り、その後の就職に向けた調整が進められる。
「薬学生は依然として大手志向が強いものの、最近は地域に根ざした中小規模の薬局にも目を向けつつある」と比叡谷氏は話す。しかし、規模が小さい薬局は、大手薬局チェーンのような充実した人事機能を持っていない。出身大学を通じて採用活動を行うなど、昔ながらのやり方だけで新卒薬剤師を確保するのは困難だ。そのような薬局に「ファーネット」を活用してほしいという。
「自分たちの会社や薬局の強みをしっかり把握し、薬学生に発信してもらいたい。自分たちは気づいていないアピールポイントはたくさんあると思う」と比叡谷氏は語る。
現在、掲載求人企業数は140社以上、地域志向の強い登録薬学生数は2200人以上。今年1月から全国の病院の一般的な情報(病院概要)を追加した。今後さらに認知度を高め、それぞれ200社以上、4000人以上に引き上げたい考えだ。
ユニヴは薬剤師の転職紹介で約10年に及ぶ実績がある。コーディネーターが薬剤師や求人企業のもとを訪れ、そこで直接入手した生の情報をもとにきめ細やかなマッチングを行うことが特徴。10年には薬剤師に特化した転職サイトを「ファーネットキャリア」へリニューアルした。近年は、薬剤師教育・研修を受託する事業にも力を入れている。
ユニヴ
http://career.pha-net.jp/
(ファーマネットキャリア)