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万有製薬の平手晴彦社長は都内で記者会見し、子宮頸癌ワクチン(海外名「ガーダシル」)の日本での承認申請について、「期待値としてだが、今年中に申請したい」と述べた。子宮頸癌によって年間約2400人が死亡していることから、早期上市が社会的使命だとし、全力を上げる構えだ。実現すれば当初予定より2年以上前倒しの申請となる。
ガーダシルは、米メルクが開発した子宮頸癌ワクチンで、2006年6月に米国で承認。子宮頸癌ワクチンとしては世界初となった。その後9月には欧州でも承認。日本では現在PIIIにある。
「ガーダシル」は、子宮頸癌の原因の約70%を占めるされるヒトパピローマウイルス(HPV)16型、18型と、尖圭コンジローマなど生殖器疣贅の原因として約90%を占めるHPV6型、11型の感染を予防するワクチン。海外臨床試験では、HPV16型、18型に曝露された経験のない女性で、両型に起因した子宮頸癌を100%予防したという結果が報告されている。
日本の治験では、当初計画として18026歳の健康な女性1000人を対象に、プラセボ対照二重盲検群間比較試験が予定されている。筋肉注射によって初回と2カ月目、6カ月目の計3回接種し、抗体価、ワクチンに含まれる型に由来するHPV持続感染及び生殖器疾患の発生の有無が検証される。
同社としては、日本で年間約7000人が新たに子宮頸癌と診断され、約2400人が死亡している状況を解消したい考え。ドラッグラグの解消の動きやがん対策基本法、ワクチン産業ビジョンの策定など環境が整ってきている中で、「何よりも優先させて取り組む」(高橋希人・研究開発本部長)としており、データ収集・解析を急ぎ、早期承認にこぎつける方針だ。