IT化で情報共有と業務負担軽減‐より丁寧な服薬援助を展開
コクミン薬局神大病院前店(神戸市兵庫区荒田町)は、神戸大学病院前に立地する。神戸大学病院や地域の基幹病院からの院外処方箋応需が多く、1カ月に約3500枚の院外処方箋を応需している。神戸大学病院の処方が大多数を占めるため、他の薬局に比べてより詳しい服薬援助(服薬指導)を求められることが多く、服薬援助時間も長い。同薬局では、ユニケのレセコン・電子薬歴・データベース一体型システム「P‐CUBE」を導入し、業務負担軽減の実現と高いレベルの服薬援助を展開している。
“生活”のサポートも重視
コクミン薬局神大病院前店は、全国に約200店舗をチェーン展開する「コクミン」の店舗の一つである。周りは住宅街のため、応需する院外処方箋は神戸大学病院に加えて、神戸市立医療センター中央市民病院、同西市民病院、神戸百年記念病院など、神戸市内の基幹病院からのものが大半を占める。
現在、薬剤師10人、スタッフ5人を有する。店長で管理薬剤師の矢部佐知子さんは、「基幹病院からの院外処方箋応需が多く、専門的な質問も珍しくないので服薬援助の時間は長く取っている」と話す。
コクミンの調剤薬局では服薬指導を“服薬援助”と呼ぶが、その理由を薬剤師でコクミン調剤本部調剤運営部部長の山邊正史さんは、「薬剤師はお客様のお薬の飲み方を指導するのではなく、サポートして差し上げるべきという考えがその根底にある」と説明する。
店内は、通路が広くバリアフリーになっているため、車椅子の患者が自らの処方について質問している姿も珍しくない。
同薬局では、コクミンの経営理念である「美と健康に奉仕する」を実現するため、生活習慣をサポートするサプリメントやOTC薬、刺激の少ないシャンプーなどの日用品も提供している。矢部さんは、「調剤だけでなく、相談薬局としての役割を担えるように尽力している」と力説する。
待合室で常駐薬剤師が対応
このような背景の中、P‐CUBEは、様々な側面から同薬局の薬剤師業務をアシストしている。服薬援助におけるメリットの一つとして矢部さんはまず、同システムの「相互作用情報チェック」機能を挙げる。同機能は、現在服用中の薬品と併用薬から、相互作用・副作用を瞬時に検索して表示する優れものだ。
「医療用医薬品とOTC薬の相互作用についてもチェック可能なので、非常に役に立っている」と強調し、「副作用や、新薬のDI、薬価などの欲しい情報が瞬時に表示されるため、薬剤師の服薬援助に欠くことのできないシステムとなっている」とその性能を賞賛する。
コクミン薬局神大病院前店では、待合室に薬剤師が常駐し、待ち時間に思いついた質問にも対応しているのが大きな特徴だ。山邊さんは「薬を渡す時だけでなく、いつでも服薬援助できる体制にしている」と胸を張る。
待合室で、薬剤師がパソコンのP‐CUBEの画面を見ながら、患者からの様々な質問に即時返答している姿は日常茶飯事のように見られる。
P‐CUBEのSOAP形式で記録した薬歴情報も見逃せない。同薬局では、キーボード入力、テンプレート入力、手書き入力を駆使して、素早く薬歴を作成している。薬歴機能の利点について矢部さんは、「情報共有による高いレベルの服薬援助と業務負担の軽減」を指摘し、「先輩薬剤師が書いた記録テンプレートを見ることで、どの薬剤師も高レベルの服薬援助を展開している」と説明する。
同薬局では、9台のパソコンでP‐CUBEの画面が閲覧できるが、「紙の薬歴に比べて、鑑査する人も調剤する人も同時にデータベースを見ることができる」と情報共有にも言及する。
スキャナー機能についても、「例えば、お客様の手のどの部分に湿疹があるのかを図で示せるので、様々なケースで活用している」と話す。
山邊さんは、「申し送り情報、重複投与、アレルギーチェックなどが自動的に表示されるポップアップ機能も非常に役立っている」と補足する。
ユニケソフトウェアリサーチ
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