厚生労働省「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」は、前回の会合で選定した13医療機器のうち、▽植込み型補助人工心臓▽小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具””について、評価ワーキンググループ(WG)報告書を了承した。今後は早期の医療現場への導入に向け、早期申請など具体的な取り組みを、関係企業に促していく。
「植込み型補助人工心臓」は、末期性重症心不全を対象疾患としたもので、既にニプロが申請している改良機種を含め、テルモ、センチュリーメディカル、サンメディカル技術研究所の4社の製品について検討した。
WGの検討結果では、既承認機器が臨床現場で使用できない状況にあり、使用可能な機器を早急に導入する必要性があるとした。対象となる患者群としては、既承認機器と同様に「重症心不全患者で、従来の治療法にもかかわらず、継続した代償不全に陥っており、かつ心移植以外には救命が困難と考えられる症例に対する循環改善に使用される」とした。
さらに、機器の生体適合性を考慮する必要性があることや、治療法がまだ定着していないなどの状況を考慮し、国内での治験実施を求めている。また市販後は、経験のある医師がいるなど、適切な医療機関で適正使用が確保されるような措置を講ずべきとしている。
小児の胸郭不全症候群に用いる胸郭矯正器具は、胸郭不全症候群(TIS)を対象疾患とした医療機器で、シンセスの製品。既に米欧など世界25カ国で使用実績がある。
検討結果では、呼吸器障害を頻発するTISの幼小児患者は、胸郭変形のために肺機能や肺の成長が阻害され、新生児期より呼吸機能不全の傾向を示し、死の転帰をたどることが多いが、同機器は胸郭に直接作用し、変形を矯正するもので、これまで国内にはない機器であることから、早期導入が望まれるとした。
対象患者はTISに限定し、導入に当たっては構造的には新しくはないが、小児では極めて重篤な疾患であることや、わが国での対象患者が少数であることを考慮し、米国で実施された臨床試験データや、国内使用経験等のデータを利用して検討すべきと結論づけた。
さらに、市販後には学会等とも協力して施設、使用者の限定、使用者のトレーニング、対象患者の評価の統一、全例調査等の適正使用のための基準作りが必要なことなどが指摘されている。