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積み残した課題はまだまだ多い

2013年12月20日 (金)

 いろいろなことがあった今年も、残りわずかとなった。国家レベルでは、この年末に安全保障に関する大きな動きがあった。戦前の軍国へ戻る懸念を抱く人もいるようだが、戦後に日本が歩んだ非戦の歴史は急に変えられるものではないし、そもそも本格的な軍拡に走るだけの暇と余裕は日本にないのが実情である。

 もっとも、国民が安心して生活を営み、普通に働いて給料を稼ぎ、レジャーを楽しみ、老後に年金をもらって、病気になれば医療を受けることができる前提条件は、戦時下にないということも事実である。平和が一番だ。

 日本が最優先で取り組まなければならない課題はいくつもある。少子高齢社会とそれもファクターとする社会保障費用の増大、東日本大震災被害からの復興と長期間を要する原発事故の処理、さらなる震災に備えたインフラ強化など、早急に相当の予算を投じて手を打たなければ国の安定を揺るがしかねない事態がすぐそこまで迫っている。

 アベノミクスの効果も確定した評価がまだ見受けられない。今の日本は消費税増税だけでは賄えない。経済が回復して税収が増加しなければ、国債のお世話になる羽目を繰り返すだけだ。医療費の抑制に向けた動きが見られるほか、これまで政治的にタブーとされてきた年金にも手をつけ、給付開始年齢の引き上げが開始される。日本で最も財政規模が大きい項目から絞るというのは自然な成り行きではある。

 中央社会保険医療協議会は11日、2014年度診療報酬改定の意見書を厚労相に提出した。意見書は、薬価引き下げ分を診療報酬本体の引き上げに充当する方式をやめて全体でマイナス改定とすべきと主張する支払側と、薬価引き下げ分を全体のプラス改定財源へと主張する医療側の両論併記でまとまった。どちらも「薬価引き下げ」が既に確定している理論で成り立っているのもどうかと思うが、そこしか財源が絞り出せないのだろうか。医薬品業界としては、何とも腑に落ちない理論構成だろう。

 今月上旬、被災地の一つ宮城県石巻市を訪れた。町中は何とか復旧しているように見えたが、津波が襲った沿岸部は未だ瓦礫が散見される更地が広がっているだけだ。防災計画で土地をかさ上げしたりするために、当該土地所有者の関係からまだ手が着けられていない。

 それでも、住み慣れたわが家から離れた場所で生活が営まれ、医療も行われているので、仮住まいとなったプレハブの薬局では調剤業務、服薬指導などが行われていた。

 被災地の人たちの頑張りを目の当たりにすると、霞ヶ関や永田町に漂っている空気が奇異に感じてしまう。

 年が明けて3月のあの日が来ればもう3年になる。国家レベルの課題解決も重要だが、地元で頑張る人にも力と財政の援助を急ぐべきではないだろうか。



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