6年制薬学教育がスタートし2年目に当たる2008年の年末、一般社団法人として発足した「薬学教育評価機構」が、この春、専門分野別としては初めてとなる薬剤師教育の第三者評価結果を発表した。
この取り組みのきっかけは古く、04年(平成16)年12月から、分野別評価としての第三者評価の実施に向けて検討を始めていた。
その後、実際に薬学6年制教育が開始され、各大学の意見を聞きつつ、「機構」を立ち上げ、トライアルを重ねた末、6年制薬剤師が輩出されるのに合わせて、同評価制度が稼働した。
第三者評価といっても、同機構が行う専門分野別評価では、『各大学が自らの掲げる教育研究上の目的を達成するために実施している教育プログラムを、どのように自己点検し、問題点を見出し、その改善のための取り組みを実施し、成果を上げているか』を、「評価基準」に則して評価するもの。
つまり、自ら点検し、自らの目標・目的に向けて教育体制等が適切か否かを自ら評価することが基本だ。同機構ホームページの巻頭でも、「大学自らがより良くなるためには、第三者による評価を待つのではなく、自ら分析し方略を修正し続けていくことが有効かつ重要」と指摘している。
今回は初めての評価ということで3大学に絞られ、3大学がそれぞれ12年度に自己点検・評価し、提出した「自己点検・評価書」に基づき、13年度に各大学の教員で構成される「評価チーム」による実際の訪問調査を含めて総合的に評価が行われた。
3大学のうち、1大学は重大な問題点があるとし、総合評価が保留された。評価結果の中で、国家試験準備のための時間を増やし、卒業研究の時間を実質的に減らし、多くの卒業延期者を出すなど、国試合格を目指した教育に偏重している問題点を指摘した。
その大学では2年次までに退学者が50人を超え、6年間の在籍で卒業率が5割に満たない状況が生じている。
先の第99回国試は、新卒者に限ると70・49%と、かろうじて70%台を堅持した。が、6年制初の第97回は95%、98回は84%と下がり続け、遂に70%台。旧4年制時代は平均70%台半ばであり、今回で底を打ったと思いたい。
今回の“新卒者”受験は全73大学(1学部含む)が全て揃ったが8822人だったが、新卒者に当たる08年入学学生は、11年に共用試験を受験した時点で、その合格者は1万0457人(本紙調査)だった。
全入学者数はともかく、共用試験時点から単純計算すると1600人余(16%)が留年、退学などの理由から国試受験から離脱した計算だ。
最近流行の「キッズファーマシー」には目を輝かせた多くの子供たちが参加している。日本の薬剤師教育は、より高い目標を掲げ6年制へと進化し、高い志のもとに評価制度も稼働させた。入り口から出口まで、当初の誓いを反映させ、キッズの夢をつなげてもらいたい。