厚生労働省医薬食品局長 神田裕二
今年は『医薬品医療機器等法(薬機法)の本格施行の年』です。昨年11月25日に、医薬品等の添付文書の届出義務化、高度管理医療機器の認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件・期限付き承認制度の創設等を内容とする改正法が施行されましたが、未だ1カ月余で、実質は、今年から本格施行です。特に、再生医療等製品に関しては、再生医療等安全確保法が合わせて施行され、臨床研究と治験の規制の整合性が図られたことから、海外からも注目されています。
このほか昨年6月、一般用医薬品のインターネット販売の仕組みを導入する改正、さらに12月には危険ドラッグ取り締まり強化のための議員立法による改正と、旧薬事法について別個の改正法が3度にわたって施行される稀有な年でした。
一般用医薬品のインターネット販売については、消費者の安全性を確保する適切なルールを整備すると共に、いわゆるスイッチ直後品目等の要指導医薬品については薬剤師が対面で販売すること等の見直しを行いました。
また、今年は、革新的な医薬品等を世界に先駆けて実用化していくため、「日本再興戦略」にも位置づけられた『先駆けパッケージ戦略の具体化を図る年』です。
さらに、今年は『セルフメディケーション推進の環境整備の年』でもあります。その第一は、薬局・薬剤師を活用した地域に密着した健康情報拠点の制度化です。モデル事業、税制上の措置と合わせて、薬局機能情報提供制度を活用した制度化を検討します。
その第二は、スイッチOTC化の推進です。日本再興戦略を踏まえ、既に、審査期間短縮の目標設定、相談体制の拡充等に取り組んでいますが、今年は、さらに、海外の事例も参考に、産業界、消費者等の多様な主体からの意見を反映する仕組みを構築します。また、医療用検査薬から一般用検査薬への転用については、具体的な仕組みの運用を始めます。
今年は、奇しくも、医薬品と医療機器の規制の国際調和の枠組みであるICH(日米欧医薬品規制調和国際会議)とIMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム)の両方の議長国にわが国が当たる年です。これを機に、産業界からの要望等も踏まえ、PMDAと連携し、優先順位を考え、『国際協力・規制調和の戦略を練る年』にしたいと思います。
昨年は、危険ドラッグにより、犠牲者を出す悲惨な事故が発生したこと等を踏まえ、指定薬物の迅速な指定のほか、初めて、検査命令・販売停止命令の発動や販売サイトの削除要請を行う等、できる限りの取り組みを実施しました。今年は、改正法を最大限に活用し、『危険ドラッグ撲滅に向けた最終最後の年』とするべく、徹底した取り締まり等を実施します。
血液事業については、少子高齢化によって献血が可能な人口が減少する中、将来にわたり血液の安定供給ができる体制を確保すべく、特に若年層への普及啓発活動の強化など、献血の推進に取り組んでまいります。