調剤薬局向けシステム開発・販売の三駆(さんく、東京調布市)は、処方箋共有システム「プリキャス」の販売を開始した。窓口で受け取った処方箋をスキャナで読み取り、調剤室内のタブレットに一斉送信(無線LAN経由)することで、レセプトコンピュータへの入力を待たずに手元で処方内容が確認でき、調剤が始められる。操作も簡単で、利用は月々3000円からと導入しやすい価格設定も特徴。
一般的な調剤作業は、処方内容をレセコンに入力してから行うため、薬剤師が入力中の処方箋を見に行って暗記してからピッキングしたり、中には処方箋を作業者分コピーして配ったりすることもある。三駆の柿沼隆社長によれば、「こうした調剤業務を少しでも効率化できないか、という薬局からの要望が開発のきっかけ」という。
「プリキャス」(特許出願中)は、調剤室のタブレットに一瞬で送信するアプリケーションで、調剤業務の合理化をサポートする。処方内容をタブレットで確認しながら調剤ができ、時間のかかる一包化や散剤の分包などを前もって取りかかったり、遅れている作業をフォローしたりと、効率的に調剤業務を進めることができる。各処方箋の作業状況も共有するので、作業の重複防止や覚え間違いによる調剤作業のやり直しが削減できる。
使用するタブレット端末は大きさや機種を選ばない。使わなくなったiPhoneでも利用できる。1台から複数台まで、調剤室の広さや薬剤師の人数など、薬局のスタイルに合わせた構成が可能。インターネットに接続しないので、ネット経由でのウイルス対策や情報漏洩の心配がない。処方箋画像は一定期間後に自動的に消去される。
処方箋が何枚か一度に来た時も順に読み込み、タブレットに送信されるたびに着信音が鳴る。何枚来ているかがリスト表示され、自分が作業中の処方箋は他のタブレットには「作業中」と表示されるので、同じ調剤室内での重複がない。画面下のコマンドボタン(カスタマイズ可能)で各処方箋の作業状況が確認でき、調剤が終わった時には「済」ボタンを押すと処方箋リストから消えて、枚数が減っていく。
プリキャスの利用は、スキャナとPC(場所を取らない小型PCがお勧め)の設置と、調剤室の見やすい場所にタブレットを数台置くだけ(無線ルータを接続するLANポートと、スキャナを接続するUSBポートが必須)。費用は、タブレットやスキャナを持っていれば、ソフトウェア使用料は月々3000円(1年契約、税別)と、小規模薬局でも導入しやすい設定。
今月からの販売開始だが、既に数店舗の薬局で導入を行っており、操作が簡単なので慣れるのも早く、導入後は移動歩数が減って「楽になった」との声も聞かれるという。問い合わせは同社(TEL042・498・5592、http://thank-jp.com)