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【ソニー】お薬手帳サービス「harmo(ハルモ)」を通じヘルスケア領域の情報インフラ構築へ [2]

2016年02月26日 (金)

 2016年度の診療報酬改定の中では、患者への服薬指導などを行う“かかりつけ薬剤師”を評価する「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が新設された。これは患者本位の医薬分業の実現を目指すもので、薬剤師による効果的な投薬・残薬管理や医師との連携による地域包括ケアへの参画推進など、薬局・薬剤師の役割を明確に示すことが強く求められた改定といえよう。こうした中、患者の服薬履歴を簡単かつ確実に管理でき、薬局・薬剤師とのコミュニケーションを円滑にするツールとして注目を集めているのが、ソニーのカード型電子お薬手帳サービス「harmo」(ハルモ)で、使い勝手の良さから患者の満足度も高く、薬局の信頼性向上にも貢献している。

効率的な服薬管理をサポート

 適切な処方・調剤を行うための重要な情報源であるお薬手帳。なかでも最近、多くの薬局で導入が始まっているのが電子お薬手帳で、医師や薬剤師が患者の服薬履歴を効率的に管理・共有することができるため、相互作用の防止や副作用の回避に役立つと期待されている。加えてスマートフォンなどを活用するため携帯性が高く、乳幼児や高齢者に比べ持参率が低いとされる現役世代(10~60代)の持参率向上という面でも関心が高まっている。

 ソニーの「harmo」は、同社が開発した非接触ICカード技術FeliCa(フェリカ)を用いたカード型の電子お薬手帳サービス。名称のharmoは、調和を表す言葉「harmony」に由来しており、「人と人との繋がりを大切にしたい」という想いを込めたという。

カードタッチで簡単操作のharmoは誰にでも使える

カードタッチで簡単操作のharmoは誰にでも使える

 まずharmoの大きな特徴は、専用端末にカードをタッチするだけの簡単操作で、薬の履歴が薬剤師・医師に正確に伝わり、適切な薬の処方・調剤を受けることに役立つこと。交通系ICカードなどでお馴染みのカードタッチ動作なので、誰でも簡単に利用できる。電子お薬手帳の多くがスマートフォンの利用を前提としている中で、harmoはカードだけでも利用が可能で、スマートフォンを持たない子供や高齢者も、すぐに始めることができる。

 患者側の負担が少ないのに加え、薬剤師側のメリットも多い。レセコンに入力された情報から、調剤履歴のみを自動的に取得するので、薬剤師にとっても追加の作業が必要ない。現場への導入がスムーズにでき、運用を効率よく行える。

 一般的な電子お薬手帳サービスでは、個人の情報が詰まったスマートフォンを医療提供者側に見せることが、患者側にとって心理的なハードルになることがある。harmoでは、医療機関用のタブレット端末で患者の調剤履歴が素早く把握できるので、患者のスマートフォンを受け取る必要がない。

 タブレット画面では、「服用中」「初調剤」などの情報のほか、患者が入力した「副作用」「アレルギー・既往歴」といったポイントが簡潔に表示される。さらに、患者の過去の調剤履歴と今回の処方内容を一つの画面で比較でき、患者が登録した副作用の情報などと組み合わせることで、効率的な服薬指導をサポートする。

 そしてharmoが多くの医療従事者から信頼を得ている“強み”といえるのが、情報管理システムの安全性。患者の調剤履歴はインターネット上のデータセンターに保存される。紙のお薬手帳は紛失してしまうと同時に、薬の履歴も失ってしまう。これに対して、データセンターで預かることにより、もしカードやスマートフォンを紛失してもデータが消えることはなく、特に災害時などの際にも安心。

 氏名・生年月日といった個人を容易に特定する情報、いわゆる「個人情報」と「薬のデータ」を分離し、カードには暗号化された個人情報が保存され、そして薬の情報のみをデータセンターに保存するという安心・安全なデータ管理システムなので、個人情報への不正アクセスの心配が少ない。

広がる薬局・医療機関への導入

ソニーでは各地で行われる市民向け健康啓発イベントに協力しているが、harmoの利便性に多くの来場者が高い関心を示す

ソニーでは各地で行われる市民向け健康啓発イベントに協力しているが、harmoの利便性に多くの来場者が高い関心を示す

 個人情報に配慮した独自の情報管理システムと、世代を問わないカード式ならではの携帯性の良さ・使いやすさで、harmo利用者数は現在4万人を超え、着実に増加を見せている。2013年に川崎市で試験サービス導入開始後、続々と薬局・医療機関に導入されており、現在の導入地域は札幌市手稲区、さいたま市、蓮田市、幸手市、東京都世田谷区、川崎市、横浜市、滋賀県全域、豊中市、神戸市の全国10都市となっている(別掲図参照

図:harmo導入実績

※画像クリックで拡大表示

 このうち、川崎市と神戸市については「自治体」「薬剤師会」「ソニー」間の三者協定による展開であり、行政機関もharmoシステムを認め、利用促進を勧めている。また、札幌市手稲区では医療・行政間の情報連携の研究・検証を目的とした「手稲区保健情報連携システム検討会」にも参画している。こういった地域医療の効率的なサポートの実現、医療機関と薬局との情報連携促進という面からも、中核病院への導入実績が着実に広がっている。

 なお次回(3月30日号)では、実際にharmoを利用した薬局、医療機関での情報共有事例などを紹介する予定。同サービスに関する詳細については、ウェブサイトを参照(http://www.harmo.biz/

目次



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