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【ソニー】お薬手帳サービス「harmo(ハルモ)」を通じヘルスケア領域の情報インフラ構築へ [3]

2016年03月30日 (水)

進む医療者間での情報連携

 患者が使用する薬剤の一元的管理を的確に実施するための重要なツールといえる「お薬手帳」。最近ではスマートフォンの普及に伴い、様々な機能が搭載された「電子お薬手帳」も増えつつある。お薬手帳は、医師・歯科医師や薬剤師等にとって医療情報の共有化という役割はもちろん、患者にとっても薬の服用履歴など必要な情報を医療者に伝えられるという“情報の架け橋”として、その活用が期待されている。ソニーが展開するICカード型電子お薬手帳サービス「harmo」(ハルモ)は、ICカードならではの携帯性の良さ、使いやすさ等から利用者を増やしていると同時に、個人情報に配慮した独自の情報管理システムが行政、そして多くの医療従事者から評価を得ており、薬局・医療機関への導入の広がりが注目される。

 「harmo」は、ICカードを専用端末にタッチするだけの簡単操作なので患者の負担が少なく、現場への導入も特別な追加作業は不要で、スムーズに行える。医療提供者に患者の情報が適切に“伝わる”ことを重要視しており、医療機関用のタブレット端末で素早く患者情報が確認・把握できる。調剤履歴等のデータはクラウド(インターネット上のサーバー)に保管するため、災害時など万一の際にも安心・安全な情報管理システムとなっている。スマートフォンアプリも提供されており、患者が自身の調剤履歴を管理することも可能だ。

 患者情報の安全性を担保し、医療の質向上に貢献する電子お薬手帳サービス「harmo」。2013年秋に、川崎市、川崎市薬剤師会およびソニーの三者で試験サービス導入に関する協定を締結して以降、着実に導入実績が広がってきた。川崎南部地域を中心とした基幹病院である川崎市立川崎病院もその一つで、当初は入院患者の薬を確認するために薬剤部がharmoを導入。そして現在は薬剤部に加えて小児科、内科、救急科が導入している。

楢林小児科医長

楢林小児科医長

 小児科の楢林敦医師(小児科医長)によれば、紙のお薬手帳を病院に持参する人は約3分の2くらいだそうで、さらなる持参率の向上や周辺薬局との情報共有・連携という面からも、今後は他科へのharmo導入を進めていきたい考え。「導入しての一番のメリットは、患者さんの薬剤の詳細情報がその場で確認できるということ。今はジェネリック医薬品も多く、聞き慣れない名前の薬も結構ある。その時は電子カルテの端末にある検索アプリを使ったりしていたが、その手間が不要なのはかなり便利。救急科でも服薬情報が瞬時に確認できることは大きい」とのこと。

 小児科であれば、患者(子供)はそれほど多くの種類の薬は飲んでいないが、高齢者等では10種類以上飲んでいる人もいる。そういう意味でも、他科へのさらなる広がりが望まれる。楢林氏も「電子カルテとの連動など、今後機能の拡張に期待したい面もあるが、多くの受け皿(導入薬局)があればこそ、患者さんも十分なメリットを感じられる」として、引き続き同サービスの普及促進に努めていきたいという。

小児科診察室でも指導時に活用

小児科診察室でも指導時に活用

阿出川氏

阿出川氏

 川崎病院の周辺薬局では多くの薬局が導入しており、harmoが効率的な服薬指導のサポートに役立っていることを指摘する。ひまわり調剤薬局株式会社のグループでは、川崎市内の複数店舗に導入している。同社の阿出川弘樹専務(薬剤師、介護支援専門員)によると、「新規にharmoを登録するユーザーは圧倒的にスマホを保有する20代後半から30代」だそうで、スマートフォンのアプリに家族の情報を登録して管理するケースも多いという。

 患者へ説明する際に用いるリーフレット(ソニー提供)も、患者の声に基づいた“店頭での使用例”が掲載されており、「ご案内時に患者さんが不安がることもなく、薬局側の導入も簡単。紙のお薬手帳を利用していた人からは、非常に便利で簡単で楽という声も聞く。今後の機能拡張も期待し、さらに患者さんとのコミュニケーション面で活用していきたい」とする。

ひまわり調剤薬局川崎みなみ薬局

ひまわり調剤薬局川崎みなみ薬局

“かかりつけ薬局”構築にも寄与

奥田氏

奥田氏

 薬局内に子供向け玩具を備えた「キッズコーナー」やオムツ交換スペースを設けるなど、小児科の処方箋応需も多いコクミン薬局川崎店(川崎市川崎区)の奥田裕子店長(管理薬剤師)も、harmoを介して医療機関と意思疎通ができるメリットを強調する。病院内のポスターやデジタルサイネージの告知により、若いお母さんだけでなく年配者も、自分の薬の情報が知りたいとharmoを希望するケースが目立つという。

 「患者の過去の調剤履歴や今回の処方内容が、一つの端末画面で比較できる。他の医療機関から出された薬も写真を見ながら説明しやすい。患者さんからも説明書(薬情)が帰途の際や家でも見られるので、すごく助かるとの声も結構ある。子供さん全員分のカードを希望する人も多い」(奥田氏)そうで、今後も小児科の医師と連携して、信頼される“かかりつけ薬局”づくりに役立てたいとする。

コクミン薬局川崎店の店頭

コクミン薬局川崎店の店頭

 川崎病院を中心として、周辺薬局との間でharmoを介した電子的な服薬情報連携の実例が出てきている。診療報酬の次期改定の中核を占める「かかりつけ薬剤師・薬局」においても、医療機関との連携が重要視されており、電子版お薬手帳に対する期待も大きいと言えるのではないだろうか。同サービスの詳細については、ウェブサイトを参照(http://www.harmo.biz/

目次



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