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生活習慣改善への適切な指導が重要

2007年11月16日 (金)

 医療制度改革に伴い、健診制度が来年度から大きく変わる。健康保険組合や国民健康保険などの医療保険者は、40歳以上75歳未満の被保険者及び被扶養者を対象に、特定健診・特定保健指導を行うことが義務づけられる。

 新たな制度では、医療保険者がメタボリックシンドロームの該当者や、その予備群の抽出を目的とした健診を実施し、生活習慣病発症のリスクに応じた保健指導を行っていく。各地方行政でも、この特定健診・特定保健指導の計画策定や実施体制づくりを進める医療保険者を支援する研修等を始めている。

 こうした中で、今年度から9月を「打倒メタボ宣言推進月間」とした東京都では、その取り組みの一つとして、特に働き盛り世代が食生活や生活習慣を見直し、メタボリックシンドロームの予防や改善のきっかけとなるよう、「打倒メタボカード」を作成した。同カードは15万部作成し、中小企業関係団体などを通じて配布したが、非常に多くの中小企業の事業主や健康管理担当者から希望があったようだ。

 生活習慣改善のためのポイントを五つの項目で紹介し、「食事編」では料理の選び方や野菜をもっと食べるための工夫など、「身体活動編」では仕事のある日の活動量の増やし方や、ほとんど体を動かせなかった時の工夫など、打倒メタボのためのワンポイントアドバイスを多数掲載しているのが特徴。

 食事の傾向や取り組み目標、行動の記録などを自分で書き込んでチェックする。A3判サイズだが、折りたたむことで簡単にカードサイズとなり、毎日持ち歩くこともできる。これまでの生活習慣はすぐに改めることが、なかなか難しい。それが心理的なストレスとなっては、ある意味で逆効果にもなるため、少しずつでも意識することが重要となってくる。

 最近の生活習慣病への意識の高まりは、薬局・薬店、ドラッグストアの店頭にも見られてきた。例えば“肥満が気になる人に”などと訴求した漢方薬製品が各社から発売されているが、予想以上の売り上げを達成したメーカーもある。これには漢方薬の売り場が様々な商品でシリーズ展開され、イメージも明るく、何に効く商品かが一目で分かりやすい売り場になってきたことも、理由に挙げられよう。

 拡大が期待される一般用医薬品市場だが、伸長していく社会的背景はいろいろと指摘されるものの、横ばいが続いてきた。明年度からは特定健診制度がスタートし、生活習慣病対策や病気の予防・未病対策が重要視され、セルフメディケーションの関心も一層高まってくると考えられる。これに一般用医薬品がどう関わっていけるか。潜在需要を掘り起こす新製品の開発と、販売店の適切な情報提供により、市場が拡大することを期待したい。

 生活習慣改善に向けては、関連製品を取り扱う小売店頭の役割も重要といえよう。東京都の取り組みとして紹介した「打倒メタボカード」は、福祉保健局のホームページからダウンロードできる。薬局・薬店、ドラッグストアとしては、ぜひこれを自店流にアレンジすることで、顧客支援にもつながるはずだ。ぜひ一考してもらいたい。



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