天然物を科学し、創意工夫するメーカーとして医薬品、健康食品等を製造・販売する松浦薬業(本社名古屋市)では、漢方薬がより多くの人の健康づくりに貢献できるよう“服用のしやすさ”に着目した漢方製剤の開発にも力を入れている。約2年前から展開を始めたのが、お湯で溶かす煎じ薬「漢方濃縮煎剤シリーズ」と、水なしで飲める携帯に便利な「漢方内服ゼリーシリーズ」で、飲みやすい新剤形の漢方薬として薬局関係者の関心も高まっている。10月末からは、漢方濃縮煎剤シリーズに新たに2処方が加わり、ラインナップが充実している。
漢方濃縮煎剤シリーズ(第2類医薬品)は、お湯に溶かして服用する漢方製剤で、手軽に安定した品質の本格煎じ薬が再現できる。1回ずつの個別包装なので携帯にも便利。賦形剤を使用していない液状医薬品で、「煎じるのは難しそう、時間がかかるといった煎じ作業に伴う“ひと手間”に悩む人にも使い勝手が良く、漢方本来の香りも実感できると好評」(同社)という。
新たに加わったのが「漢方濃縮煎剤当帰芍薬散23」と「漢方濃縮煎剤加味逍遥散24」で、いずれも成人(15歳以上)1回1包を食前または食間に約20~100mLの水またはお湯を加え、よく攪拌して服用する。オープン価格。
漢方濃縮煎剤シリーズは、これまでの葛根湯、麦門冬湯、補中益気湯、六君子湯、抑肝散、牛車腎気丸に新製品2品を合わせ、計8製品となった。
もう一つの新タイプ漢方薬は「漢方内服ゼリーシリーズ」(第2類医薬品)で、こちらも携帯に便利な個別包装となっており、いつでもどこでも水なしで飲めるゼリー剤となっている。スティック先端部の出し口をやや小さくし、切り込みが入っているので開封しやすい。また、押し出す際にゼリーが少し砕けながら(クラッシュして)出てくることで、誤嚥を防ぐ設計も特徴。
スティックタイプなので、外出時にも鞄に入れやすく、枕元にも置けるので急な症状にもすぐ対応が可能。漢方薬が苦手な人でも服用しやすい味に仕上げている。現在は「松浦の芍薬甘草湯ゼリー」と「松浦の抑肝散ゼリー」の2製品での展開。芍薬甘草湯ゼリーは、夜間など急激に起こる筋肉の痙攣(こむらがえり)に即座に対応できる。抑肝散ゼリーは、神経が高ぶり怒りやすく、イライラがある人で、夜眠りにくい時に枕元に置いておけば、いつでも服用できる。
松浦薬業では、10月末に京都で開かれた第10回日本薬局学会学術総会の企業展示に初出展し、これら新剤形漢方薬シリーズをブースで紹介すると共に、ゼリー状漢方薬の製剤特性についてポスター発表を行った。その際に、来場した薬剤師・薬局関係者から高い関心が示されたという。
「現行の顆粒剤に困っている患者に適しているとの声も、多く聞かれた。また、調剤薬局で販売できるOTC医薬品に興味を持つ人も多く、健康サポート薬局として備えるべき特徴あるOTC医薬品を探している状況もうかがえた」(同社)とし、今後も薬剤師関連の学会等の場で両シリーズを周知、浸透させていきたい考え。